網膜に異常が起こる黄斑変性は、高齢者の眼疾患のうち最大の問題となっている。加えて現代人はパソコンなどの情報通信(IT)機器などを好んで使うことから、台湾でこの疾患に悩む患者は20万人を突破している。これを受け、台北栄民総医院と国立陽明大学の研究チームはこのほど「新型網膜多機能ステント移植システム」を開発。幹細胞と網膜色素上皮細胞を病変により損傷した網膜下に移植するもので、この治療法が実用化されれば、黄斑変性で失明した患者に再び光を取り戻すチャンスを与えることができることとなる。
台北栄民総病院研究部基礎研究科の邱士華主任は、臨床現場では現在、この疾患の前期と中期の患者に対して、眼球に薬物を注射し、新生血管の生成を抑制する治療が行われている。ただ、失明間近の末期の患者に対しては、薬物に頼る治療では改善が見込めない。
台北栄民総医院のこの研究が成功すれば、数多くの患者にとって福音をもたらすことが期待される。