財政部関務署(日本の財務省関税局に相当)台北関竹圍分関の職員と台湾北部、桃園市衛生局食品薬物管理科の職員が、水産輸入業者から賄賂(わいろ)を受け取った疑いがあることがわかった。これらの職員は、機密調査情報の漏えい、あるいは文書を偽造し、業者に問題のある商品を低価格品や空き箱にすり替えさせたことで、日本の福島第1原子力発電所放射能漏れ事故問題で輸入が禁止されている地区の食品や農薬が残留しているタイなどの国や地区の食品6,000キロ余りが台湾に輸入され、市場に流出した恐れがある。
問題の食品は殺虫剤などの農薬が含まれ、今年初めにタイから輸入されたグリーンアスパラ、フィリピンから輸入された紅蟳(ワタリガニ)のほか、東日本大震災が発生後から輸入を禁止している千葉県などの万能ねぎ、ワカメ、甘えび、海ぶどう、ショウガの芽など。これらの食品はすべて販売され、業者は1,000万台湾元(約3,860万日本円)を超える利益を得たと予測されている。
法務部廉政署の調査によると、日本から台湾に航空輸送で水産食品を輸入している業者は、台湾北部、桃園市の台湾桃園国際空港の税関が、輸入が禁止されている千葉県などの食品を輸入していることを発見するのを避けるため、輸入が禁止されていない地域の貨物の中に問題の食品を混在させて、台湾に輸入していたという。
さらに、不正が発覚し、税関の特別調査を受けることを恐れた業者は、貨物の検査を担当する税関職員に贈賄したとされている。その見返りとして、機密情報を入手し、事前に商品をすり替えを行い、問題の商品を輸入したとみられる。
そのほか、食品薬物管理署の職員が入国の際の検査を行ったところ、東南アジアから輸入されたグリーンアスパラ、紅蟳(ワタリガニ)などの食品に農薬などの残留物が見つかった。通常の手順では、それを密封して処分するが、業者が担当職員に賄賂を贈り、問題の食品を低価格品にすり替え、或いは箱だけを残し、中身の問題の食品を持ち去り、担当職員に不正資料を作成させ、通常通り密封後に処分したよう偽装した。