台湾で広がる安全で質の高い農業が、東南アジア諸国から注目を浴びている。フィリピンのマリオ・モンテホ科学技術大臣は11日、代表団を率いて台湾中部、台中市の農家と農地を訪れた。また、国立中興大学植物病理学科の蔡東纂教授に対し、農家のための講座「農民講堂」の成功モデルをフィリピンにも紹介するよう要請、自国の農産物の質や農家の収入の向上を図りたいとしている。
蔡教授が20年前に立ち上げた農民講堂は当初、中興大学の農学部で定期的に無料で講座を開講。農家の人々のため、植物の病害や虫害の問題を解決したり、農薬や化学肥料の減量を通じた安全で質の高い農作物の栽培などを指導した。
「農民講堂」の手法は、フィリピンの民間や政府当局からも高い評価を受け、フィリピン農業省が代表団を派遣し台湾に視察に訪れるまでとなった。モンテホ大臣は11日、副大臣や科学技術省高官など7人とともに、現在の「農民講堂」のあり方を理解するため蔡教授を訪ねた。
フィリピンの対台湾窓口機関、マニラ経済文化弁事処(フィリピン駐中華民国大使館に相当)台中分処の呉天来処長によると、フィリピンでは人口の3分の1が農業に従事しており、農家の収入を増やすことができれば、政治や社会全体にとっても大きな力になると期待される。同国は技術交流を通じ、「農民講堂」の成功モデルをフィリピンで再現し、農産物生産額や農家の収入向上につなげたいとしている。