国際的に大きな関心を集めている南シナ海問題について、中華民国外交部(日本の外務省に相当)は、重ねて以下の主張を表明する。
1.歴史、地理、国際法の視点のいずれにしても、南沙諸島、西沙諸島、中沙諸島、東沙諸島、およびその周辺の海域は、中華民国固有の領土と海域である。中華民国は、これら4つの諸島およびその海域における国際法上の権利を有し、いかなる国家は、いかなる理由、または方法でそれを占拠し、あるいはその領有権を主張しても、中華民国はそれを承認しない。
2.南シナ海の島々を最初に発見、命名、使用、それを領土に組み込んだのは中華民国だ。第二次世界大戦後、中華民国政府は、民国35年(1946年)に、東沙諸島、西沙諸島および南沙諸島の主権を取り戻した。また、翌年12月に南シナ海の島々の名称と「南シナ海の位置図」を新たに定めたことを発表し、中華民国の領土および海域の範囲を明確に示した。このほか、民国41年(1952年)4月28日に発効した「サンフランシスコ平和条約」および同日に締結した「中華民国と日本との間の平和条約(日本名:日華平和条約)」、およびその他の関連する国際的な法的効果を持つ文書において、日本が占有していた南シナ海の島々がすべて中華民国に返還されるべきことが確認されている。その後、数十年にわたり、中華民国が南シナ海の島々を有し、それを有効的に管理しているという事実は、外国政府や国際機関に承認されている。
3.民国45年(1956年)に、中華民国は、南沙諸島で最も面積(約0.5平方キロメートル)が大きく、自然に形成された島、太平島に軍隊を派遣するとともに、同年に「南沙守備区」を同地に設置した。法律、経済、地理、いずれの視点からも、太平島は、「国連海洋法条約」第121条の島嶼に関する要件に符合するとともに、人類が居住でき、基本的な経済生活も維持できる、決して岩礁ではないことも証明されている。中華民国は、太平島は一つの島嶼である事実を断固主張している。この事実を覆そうとする全ての国家の主張は、太平島の島嶼としての地位と「国連海洋法条約」に基づいて享受すべき海洋権益を損なうことはできない。
4.民国97年(2008年)から今まで、中華民国政府は積極的に南シナ海の平和的用途を推進し、既に多くの成果を挙げている。地域の平和と安定のために重要な貢献をしてきた。
5.中華民国は、長年にわたって太平島などの島々を堅守してきた。しかし、そのために他国と軍事衝突が発生したことはなく、同地域(空域、水域を含む)での各国の船舶の航行及び飛行の自由を妨げたこともない。
6.中華民国政府は、南シナ海周辺の各国に対して、「国際連合憲章」、「国連海洋法条約」の原則と精神を尊重し、自制して、平和で安定している南シナ海地域の現状を維持し、緊張を高める一方的措置を控えるよう呼びかけている。
7.中華民国政府は、「主権は我にあるが、争いは棚上げし、平和互恵で、資源の共同開発を」という基本原則に基づき、平等な協議の基礎の上で、関連国家と共同で南シナ海地域の平和と安定を促進するとともに、南シナ海の資源を共に開発し、その保全に尽力する。
8.太平島およびその他の南シナ海の島々と海域に関する全ての計画や協定について、中華民国政府による協議への参加および同意がなければ、中華民国に対しては何の効力もなく、中華民国はそれを全て承認しない。