中央銀行の彭淮南総裁はこのほど行った業務報告の中で世界銀行の研究を引用し、世界のバリューチェーンが整うに連れて、通貨の価値が下がることの輸出に対する影響はますます弱くなっていると指摘した。通貨安が輸入コストを引き上げるため、価格面における輸出競争力の向上を限定的なものにするという。
中央銀行はこの業務報告の中で、小型で高度に開放された経済体に属する中華民国(台湾)にとって輸出は経済成長の牽引役だが、天然資源に乏しいため、エネルギーなど農業や工業の原料と中間財を大量に海外から輸入して国内で販売する品々と輸出品を生産せねばならないと特に説明。このため為替レートが大きく変動することは好ましくなく、台湾経済の発展には安定した為替レートが大変重要だと指摘した。
中央銀行の統計によると、今年に入ってから台湾元の対米ドルレートは3.71%低下しているのに対し、韓国のウォンは6.42%下がっている。台湾元の値下がり率はウォンの約半分。また、国際決済銀行(BIS)がまとめている実効為替レートでは、名目及び実質のいずれにおいても台湾元は安定しており、シンガポールドルやウォン、人民元に比べて変動幅が少ない。
台湾元の為替レートに影響する主な要素として、中央銀行はホットマネーの流出入を挙げ、内外の為替レートに対するホットマネーの影響を避けるため、中央銀行は対抗措置をとって為替レートの過度な変動を抑制し、台湾元の安定した動きを維持するとしている。また、ビッグデータを運用して外為市場の日々の取引を分析することで常に市場動向の把握に努めるという。