戦争で死傷した台湾籍の元日本兵たちの権利と利益を勝ち取るため、日本やスイス・ジュネーブの国際法廷で、日本政府の謝罪と賠償を求める訴訟を起こした台湾籍の元日本兵、台湾中部・南投県の草屯鎮に住む洪火灶さんが、先日、99歳でこの世を去った。洪さんが元日本兵たちの人権のために奔走したことは、草屯鎮の年長者の間では、未だに語り継がれている。
洪さんは、日本占領時代に当時の日本政府の命を受けて、南洋の戦地に赴いた。戦争中には、爆撃で左脚を失った。日本の敗戦後、日本政府はただ、自国の兵士たちの補償に応じただけで、同じく戦死、戦傷した台湾籍の日本兵たちは放置された。そこで1978年に、洪さんはかつての戦友とともに日本に渡り、日本政府を相手取る訴訟を起こした。この裁判は19年にもおよび、洪さんらの敗訴に終わった。しかし洪さんは、これであきらめず、1993年に、スイス・ジュネーブの国際法廷において、日本政府を訴え、最終的に日本政府が謝罪することになった。