世界的な半導体ファウンドリー、TSMC(台湾積体電路製造株式会社)の新たな中国大陸進出先が南京に確定。進出に当たっては設備業者に、同社が最も強く、競争力を有する16ナノメートル・プロセスでスタートすると通知しており、競争相手を寄せ付けない構え。最初の12インチ・ウエハ工場は2018年に正式に生産を開始する予定だという。
TSMCは当初インテル社の大連工場、武漢、南京を候補として選定し、12インチ・ウエハ工場設置を検討したが、インテル社の大連における旧工場は8インチの工場で、解体して12インチ工場に建て直す必要があったため、採算性が劣り断念。最終的に南京市が投資を奨励するために提供する優遇措置がカギとなり、南京を投資先に決定した。
TSMCは今年下半期に量産体制に入った16ナノメートルのFinFETプラスのプロセスを南京での業務に選定。このプロセスはTSMCが現在、米アップル社の「A9」プロセッサーの製造に用い、韓国のサムスン電子の14ナノメートルをリードしている技術で、南京工場は中国大陸において最も進んだロジックIC工場となる。
半導体設備メーカーによると、TSMCが直接16ナノメートルのプロセスで、中国大陸で受注して量産を始めることは、経済部(日本の経産省に相当)投資審議委員会の規定内だということ。しかし、TSMCの中国大陸におけるこの展開は、中国大陸のSMIC(中芯国際集成電路製造)、並びに聯芯集成電路製造などのライバルメーカーを大きくリードすることになり、大きな衝撃をもたらすものと見られている。