行政院環境保護署(環保署、日本の環境庁に相当)は、米海洋大気庁(NOAA)と協力して、東沙島において温室効果ガスのサンプリング・観測を長期的に実施している。5年間の観測データに基づいて、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの主要な温室効果ガスの濃度が上昇し続けていることがわかった。また、二酸化炭素を例にみると、2014年の年間平均濃度は400ppmを超え、依然として増加を続ける傾向にある。
環保署は、「台湾は東南アジアの北端に位置している。インドネシアなどの国が夏の間に大量の農作物や樹木を焼却することによって、深刻な大気汚染が発生していることに加え、工業汚染物質の排出で、アジア上空に褐色雲が観測されている。そこで、環保署は米航空宇宙局(NASA)と共同で『七海計画―東沙島実験』を進め、観測規模を拡大して、インドシナ半島のバイオマス燃焼汚染物が長距離を移動する物理・化学的プロセスを探る」と説明した。
海水のモニタリングについては、環保署は「東沙島沿岸海域環境水質モニタリング計画」および「南シナ海環境品質調査計画」を推進し、ここ7年で徐々に南シナ海を縦断する沿岸の水質データを確立してきた。過去のモニタリングの結果によると、南シナ海の2つの島の海域および南シナ海航路の各調査地点における水質は、みな良好であることがわかっている。
環保署は、南沙諸島・太平島は、東沙島から遠く離れていることから、独立して調査を行うなら、膨大な経費が必要なため、行政院海岸巡防署(海巡署=日本の海上保安庁に類似)、および国防部(日本の防衛省に相当)と協力して、軍艦や軍用機のスケジュールに合わせて水質調査を行っている。そのため、得たデータは大変貴重なものだとしている。