馬英九総統は1日午前、国立陽明大学(台湾北部・台北市)で行なわれた「2015年台湾健康フォーラム」開幕式に出席し、中華民国(台湾)における健康保険制度推進と改革の成果を説明した。
馬総統は、今年のフォーラムのテーマは「Public Health Governance(公衆衛生のガバナンス)」で、世界が共に少子高齢化や健康管理などの公衆衛生問題に直面する今、いかにして対応策を効果的に打ち出していくかは各国政府の指導力にかかっていると指摘した。馬総統はその上で、中華民国(台湾)で最も成功した公衆衛生政策として、「国民皆健康保険」の実施を挙げた。
馬総統によると、中華民国は1995年に「国民皆健康保険」をスタートさせ、現在では行政費用が世界最低である一方、保険給付の範囲は最も行き届いた健康保険制度を整えた。「国民皆健康保険」には三つの特色があり、まず、全国民が加入対象であることで、加入率は99%に達している。二番目の特色は「公平な診療」。低収入者でも病気になった場合は適切な医療ケアが受けられる。三番目の特色は、国民の満足度が高いこと。近年の満足度は8割近くに達しており、中華民国政府の公共政策で国民の満足度の最も高い政策の一つとなっている。
馬総統は、中華民国における「国民皆健康保険」は各国のメディアに広く取り上げられているとし、2008年のノーベル経済学賞受賞者である米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授が2005年11月7日の米ニューヨークタイムズで発表した、『Pride, Prejudice, Insurance』という文章を例にそれを紹介。クルーグマン教授はこの中で、台湾の健康保険制度が医療費用を大幅に増やすことなく、すべての人々を健康保険に加入させる目標を達成したことを大いに称えたという。
台湾における健康保険制度の進化について馬総統は、健全な健康保険財政が保たれることを前提に、合法的に台湾で暮らす海外籍の人々に対しても政府は国民と平等の健康権を保障していると説明。また、2013年1月に実施された二代目の「国民皆健康保険」では刑務所で服役する人たちもすべて保険に加入させられるようにしており、馬総統は、これは受刑者の医療の権益保障における重要なマイルストーンになったと強調した。