経済部(日本の経済産業省に相当)智慧財産(知的財産)局は間もなく、著作権法の改正草案をまとめる。中華民国(台湾)の著作権法は1998年から数度にわたり改正されているが、これまでは大枠は変わらず、大幅な改正は行われてこなかった。一方、今回はインターネットの普及を考慮し、条文の半数以上を改正、過去最大規模のものとなると言える。条文の数は現行の117条から149条に増える。草案は3月ごろに行政院(内閣)に送られる予定。
今回の改正は大きく分けて以下の4つのポイントが挙げられる。
1.デジタル・コンバージェンスの時代の到来に対応する。権利の境界線があいまいとなる中で、インターネットを通じたマルチメディア・オン・デマンド(MOD)方式のデータ転送は、公開放送なのか公開伝達なのか常に議論となっていることを受けてのもの。
2.遠隔のeラーニングが教育のトレンドとなっているのに対応し、著作物の使用形態を3つに大別し、どういった状況の下であれば合理的な使用を主張できるかを説明。知財局の王美花局長によると、学校が正式に学籍を置く学生に対しeラーニングを行う場合には合理的な使用とみなし、著作物の使用に当たって費用を払う必要はない一方、これを一般の市民に開放する場合は、非営利事業であっても使用許諾権を取得する必要がある。
3.知財局は、著作権の承継者がいない著作物の使用許諾権について強制授権とする規定を追加で制定し、使用許諾を取得したいにもかかわらず著作権者が見つからないといった問題を解決するとしている。使用の際の時効性と著作権当局の審査効率を向上させるため、将来的には使用許諾取得者が保証金を供託すれば先行して利用できることとする。
4.刑事責任に関し時代に合わない規定の改正を検討する。著作権についての刑事責任規定では、正規版の散布に伴う刑事責任と6カ月の法定刑の下限について、軽重のバランスが取れず、罪や刑事責任が釣り合わない状況が問題となっている。