馬英九総統は28日午前、関係省庁の高官並びに学者を率い、南シナ海に浮かぶ南沙諸島(スプラトリー諸島)の太平島を視察すると共に、現地に駐在する人員を慰労した。太平島に到着後、馬総統はまず行政院海岸巡防署(日本の海上保安庁に相当)南沙指揮部で業務報告を受け、同署の駐在人員と一人ひとり握手を交わしてあいさつした。馬総統はその後、「和平南海、国疆永固(Peace in the South China Sea and our national territory secure forever)」と刻まれた記念碑の前で談話を発表、今回の太平島視察の目的及び南シナ海地区の平和に対する展望を語った。
馬総統の乗った航空機は、同日夜に台湾北部・台北市の松山空軍指揮部に戻り、馬総統はただちに海外メディアを対象にした記者会見を開催、国民に向けて太平島視察の目的を説明した。記者会見ではまず、馬総統一行が太平島を訪れた様子を映像で紹介。続いて馬総統があいさつし、今回の太平島視察には四つの目的があり、まずは旧正月を控えて現地の駐在人員の労をねぎらうことだったと述べた。
馬総統によると、第二の目的は、中華民国(台湾)の主張する「南シナ海平和イニシアチブ」のロードマップを発表し、いかにして南シナ海の平和を推進し、太平島を「南シナ海平和イニシアチブを実践する上での起点の一つ」とするかを説明すること。第三の目的は太平島の平和利用の推進で、これには太平島を「平和と救難の島」、「生態系の島」、「CO2削減の島」にすることが含まれる。そして第四の目的は、「フィリピンと中国大陸との間の南シナ海をめぐる紛争の仲裁手続き」の中で、太平島の法的地位が貶められたことに対し、出来るだけ早く「厳正に真実を明らかにして説明する」こと。
馬総統は、太平島は「島嶼(island)」で「岩礁(rock)」ではないと強調、太平島には淡水がある他、自力で農作物を生産することも可能で「島嶼」としての各要件を満たしていると説明した。馬総統はそして、同仲裁手続きの結果が今年5月から6月には明らかになることについて、「それまでに彼らが太平島の実情を理解し、誤った判断を下さないよう希望する」と述べた。馬総統はその後、会場のメディアからの質問に答え、南シナ海における主権争い、米国側の反応、今回の太平島視察が世界情勢や台湾海峡両岸関係にもたらす影響などについて自らの考えを述べた。