馬英九総統は29日午後、国立曁南国際大学(台湾中部・南投県)で行なわれた、2016年「全国大専院校校長会議」に出席した。「大専院校」とは、大学、専科学校(日本の高等専門学校に類似。5年制と2年制がある)、科技大学(4年制ながら大学とは進学システムが異なる)、技術学院(4年制)のこと。馬総統は、参加した教育関係者らが意見を出し合い、高等教育の変革のためのより行き届いた政策を話し合うことを高く評価した。
中華民国(台湾)における高等教育が少子化問題による厳しい挑戦に直面していることについて馬総統は、政府は近年、出産に立ち会うための休暇、妊娠の状態を安定させるための休暇、出産補助金、育児のための休職期間における補助金など、様々な結婚・出産奨励政策を推進してきたと説明。馬総統は、民間企業が次々とこれらの政策に倣ったことで若者の出産意欲が高まり、台湾における新生児の数は過去2年いずれも21万人を上回っており、この趨勢を維持できれば少子化の影響を和らげることが可能になると期待した。
また、中華民国の優秀な人材が徐々に流出しているとの懸念に対して馬総統は、政府が2010年より進める「柔軟性ある給与計画」では国内の優秀な教師の待遇を改善したとして、こうした取り組みにより、優秀な人材を引き留めたり、引き付けたりする効果を高めていることを指摘した。馬総統はまた、行政院(内閣)が昨年9月に打ち出した「全国人材コンテスト」にも触れ、外国籍の優れた人材を引き付け、引き留めて、台湾経済の変革とイノベーションに協力してもらい、雇用促進につなげようとしていると説明した。
さらに馬総統は、卒業後も台湾での就職を希望する優秀な外国人留学生や華僑学生に関する関連の規制緩和も行なっていると紹介、これら傑出した海外籍の人々が台湾で働き、専門技術や能力で貢献できるようにすることで、台湾の競争力強化を図ると強調した。
馬総統は今回の会議が「高等教育の新たな変革で、国際的な人材育成を強化する」ことを理念としていることを歓迎すると共に、教育部(日本の文科省に類似)は「新たな時代における高等教育の青写真」を提示済みで、「大学の新たな位置づけ」、「研究基地の確立」、「学生の進路に対する全面的な支援」、「大学経営の規制緩和と再編」の四大戦略を通して高等教育の変革を推し進めていくと述べた。