外交部(日本の外務省に相当)は23日、国内外のメディア関係者を南シナ海の太平島に招待した。外交部の令狐栄達次長(副大臣)、総統府の陳以信報道官、学者や専門家なども同行し、南シナ海における中華民国(台湾)の領土、南沙諸島(スプラトリー諸島)最大の島嶼の生態環境や、それが国際社会の平和や人道救援活動のために演じている重要な役割などを実際に見学した。海外の主要メディアを太平島に招待するのは初めてのこと。中華民国(台湾)の南シナ海における主権の主張を強化し、太平島が「島嶼」であって「岩礁」ではないという法的地位について説明し、国際世論の支持を取り付けるなどにおいて、重要な意味を持つものである。
馬英九総統は今年1月28日に太平島を視察し、「南シナ海平和イニシアチブ」ロードマップなど重要な談話を発表した。海外メディアはこれに高い関心を示し、報道を行った。今回の国内外メディアの招待では、記者たちに島の井戸水を飲んでもらったり、現地の食材を使った昼食を食べてもらったりすることで、太平島の自然条件が人類の居住を十分維持でき、経済生活が可能な島であることを、身をもって実証してもらった。
太平島南沙医院に派遣されている医療関係者は記者から取材を受けた際、同医院が中華民国の国民に対する緊急救護だけでなく、外国人に対しても人道的な救援を行っていることを明らかにした。2000年2月から2015年12月までに同医院が対応した患者は延べ23名で、そのうち外国籍は延べ12名。太平島の「平和と救難援助の島」としての精神を十分に発揮しているという。
太平島に上陸した記者たちはこのほか、島の原生林、農場、郵政代理業務窓口、太陽光発電施設、1951年に建設された観音堂などを見学した。この観音堂の周辺には、清朝時代の古い墳墓があるほか、1946年12月12日に中華民国(台湾)が太平島を収復した際、軍艦「太平号」の到達を記念する「太平艦到此」の記念碑が建っている。これらのことは太平島で、早い段階から人類が活動しており、この島が「人類の居住を十分維持できる」ことの有力な証拠となっている。
外交部の令狐栄達次長は招待した記者に対して、中華民国(台湾)政府は平和的手法によって、中華民国が太平島に対して有する法定権益を守っており、中華民国政府はこれまで南シナ海で平和的な統治政策をとってきたと説明した。さらに国際社会に対しては、中華民国政府が2015年5月26日に提唱した「南シナ海平和イニシアチブ」を直視し、中華民国(台湾)の主権が南シナ海に及ぶ事実と権益を尊重し、中華民国(台湾)が適切な方法で、南シナ海を取り巻く多国間協議に参加し、南シナ海の平和と安定維持に参与できるようにすることを希望すると述べた。