世界最大手の電子機器受託生産(Electronics Manufacturing Service EMS) 企業、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によると、鴻海グループは2,888億日本円を出資し、日本の大手電機メーカーであるシャープから普通株を買い受ける。また、999億9,990万日本円を出資してC種類株を買い受ける計画。鴻海グループは合計3,888億日本円で、シャープが発行する株式の過半数を取得することになる。これにより、鴻海グループによるシャープ買収が正式に確定した。
鴻海グループ傘下の鴻海精密工業と鴻準精密工業は30日午後、重大発表を行うとして記者会見を開催した。
鴻海精密工業によると、同社はシャープが新たに発行する普通株を、発行価格1株あたり88日本円で合計13億株買い受ける。購入価格は1,144億日本円。これにより鴻海精密工業は、新株発行後のシャープ株式の約26.14%を取得する。
鴻海グループとしては合計2,888億1100万日本円を出資するため、新株発行後のシャープ株式の保有比率は合計66%となる(普通株の部分のみ)。
鴻海グループによるシャープ買収は、今年2月下旬に確定すると見られていたが、1か月以上も先送りになった。2月下旬にシャープの「偶発債務」の存在が伝えられたため、鴻海グループは作業のスピードを緩め、時間をかけてシャープの財務と負債状況について現地で調査を行った。その過程には紆余曲折もあったものの、ついに円満な結末を迎えることとなった。
鴻海グループによるシャープの買収は、5つの「初めて」を作り出すことになる。第一に、日本の電子大手が海外資本による再建を受け入れる初めての事例となる。第二に、鴻海グループにとって創業42年で初めての、過去最大の海外投資事例となる。第三に、台湾企業にとっても過去最大の海外投資事例となる。第四に、台湾企業による初めての日本の液晶パネル大手買収事例となる。第五に、鴻海グループの人員がシャープの取締役会に入った場合、シャープの創業100年以上の歴史で初めて、台湾出身の社長が誕生する可能性がある。