行政院(内閣)の童振源報道官は1日、外交部(日本の外務省に相当)、衛生福利部(日本の厚労省に類似)、行政院農業委員会(日本の農水省に相当)の代表と共に行政院で記者会見を開き、米国産豚肉、あるいは日本の福島県で生産された食品のいずれも「食の安全」に関わる問題であり、政府の態度は極めて明確だと強調した。童報道官は、食品の安全性確保について政府は断固譲らないとして、管理を徹底する決意を示すと共に、「食の安全」には専門性と科学的な根拠が関わってくるとして、安全性確保に向けた政府の努力に理解を求めた。一方、「沖ノ鳥(日本名:沖ノ鳥島)」の海域における漁業権の問題について童報道官は、理想的な方式だとして外交ルートを通じた交渉での解決に期待する立場を示した。
外交部の李澄然常務次長(事務次官に相当)は、中華民国(台湾)は海洋に関する争いについて、当事者同士が国際法に則って協議し、平和的な方式で解決すべきだと主張してきたと説明。その上で、「沖ノ鳥」付近の海域の法的地位に関する争いが決着するまで、日本は中華民国並びに他の国々の当該海域における航行と漁など、公海での自由と権益を尊重すべきだと主張した。李次長によると、「沖ノ鳥」の周辺海域には国際的な議論が今なお存在しているが、政府が漁業者の権益を守る立場に変わりはない。李次長は、7月には日本との間に設ける「海洋協力に関する対話の枠組み(台日海洋協力対話)」がスタートするとして、外交ルートによる協議で問題が円満に解決し、漁業者の権益が確保できることに期待した。
また、日本の福島県で生産された食品の輸入制限解除の問題について、衛生福利部の林奏延部長(大臣)は、政府は国民の健康を守るため、国際的な規範に従い、科学的な証拠を食品の安全管理のよりどころにしていくとする一方、日本で放射能漏れ事故の影響を受ける恐れのある食品の輸入制限を緩和する計画はまだ無く、タイムスケジュールも無いと説明した。
林衛生福利部長は、日本から輸入される食品に対して現在は依然として産地証明、そして特定の食品には放射性物質の検査証明という二つの証明書類の添付を義務付けていると指摘すると共に、政府は引き続き日本国内での検査状況、並びに世界各国の日本産食品に関する輸入規定と検査結果を注視していくと説明した。台湾は、福島第一原子力発電所での事故以来、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県で生産された食品の輸入を制限している。