中華民国(台湾)と米国は今年開催された世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)において、デング熱ワクチンを共同開発することで一致した。4日に台湾を訪問した米国の専門家2名は、7日に衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)の林奏延部長(大臣)と陳建仁副総統をそれぞれ表敬訪問した。両国は速やかに協力を進め、今後、台湾において高齢者を対象とした臨床試験を行う。高齢者を対象としたデング熱ワクチン開発の取り組みは世界初となる。
米国からやってきた専門家の1人、米国国立衛生研究所のStephen Whitehead副研究員は、1981年から1983年まで宣教師の身分で台湾に滞在していたこともあり、台湾とは無縁ではない。Stephen Whitehead氏は6日、臨床試験を担当するジョンズ・ホプキンス大学のAnna Palmer Durbin副教授と共に、ワクチン説明会に出席した。説明会には、衛生福利部の何啓功次長(副大臣)、台湾の最高学術研究機関、中央研究院の陳培哲院士、国立台湾大学医学院附設医院の張上淳院長、国立成功大学の蘇益仁講座教授などの専門家や衛生福利部食品薬物管理署の関係者などが、ワクチンの有効性や安全性について意見を交換した。
台湾で昨年、主流行株となったのはデングウイルス2型で、高齢者で重症化するケースが多くみられた。このため中華民国政府は、台湾の高齢者250名を対象にワクチン接種を行う臨床試験に全面協力することとした。これは世界初の高齢者を対象としたデング熱ワクチンであり、貴重な治験データが得られると考えられている。台湾はこの治験データを公表し、全世界の疾病対策のために貢献したい考え。