蔡英文総統は28日、台湾を代表する経済団体の一つ、中華民国全国工業総会の理事や監事ら一行による表敬訪問を受けた。総統府の黄重諺報道官によると、一行の表敬訪問を受けた蔡総統は、「新南向政策（東南アジアやインドとの関係を深める政策）は中国大陸市場と同様に重要で、重点は台湾の産業チェーンを統合し、拡大する手助けをすることにある。今後１～２年間で初歩的な成果を挙げることができるよう期待する」と述べた。
黄報道官によると、中華民国全国工業総会のある理事が「政府は新南向政策の推進に当たり、まずはあらゆる産業のサプライチェーンの枠組みを確立することを優先的に考え、その過程において産業の発展を手助けするべきだ。ASEAN（東南アジア諸国連合）やインド、または中国大陸市場の開拓にしても、産業チェーン全体を経済規模にまで拡大させる必要がある」と述べた。
これに対して蔡総統は、「政府の対外経済戦略全体について言えば、新南向政策も中国大陸市場も同様に重要で、重点は台湾の産業チェーンを統合し、拡大する手助けをすることにある。１～２年以内に初歩的な成果を挙げることができるよう期待する」と述べた。
黄報道官はまた、「蔡総統の今回の会見の重点は、労働条件の改善はこれからのすう勢であり、『コストダウンはすでに限界に達しており、転換が必要』だということだ」とまとめた。蔡総統はこの会見で企業関係者たちに対し、労働条件や環境の改善、所得の公平な分配、社会のセーフティーネットの構築などについて、共に努力してくれるよう協力を求めたという。
蔡総統はさらに、経済の構造改革には社会の力が互いにぶつかりあう過程が必要だと指摘。イギリスでサッチャー首相が現役だった時代、自分もイギリスに留学していたが、自分は改革を進める上で固い信念を持っているものの、サッチャー首相に比べたらその態度は柔軟で、またずっと辛抱強いと強調したという。