2024/05/02

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台湾のコロナ研究に進展、タンニンが新型コロナウイルスを抑制

2021/01/26
台湾の最高学術研究機関「中央研究院」の院士(フェロー)で、私立中国医薬大学の校長(=学長)を兼務する洪明奇博士(前列左から3人目)が率いる研究チームは、タンニン (tannin)が新型コロナウイルスの2つの酵素活性を阻害し、ウイルス感染を予防し、且つウイルスの成長を抑制することを初めて発見した。(私立中国医薬大学提供、中央社)
台湾の最高学術研究機関「中央研究院」の院士(フェロー)で、私立中国医薬大学の校長(=学長)を兼務する洪明奇博士が率いる研究チームは、タンニン (tannin)が新型コロナウイルスの2つの酵素活性を阻害し、ウイルス感染を予防し、且つウイルスの成長を抑制することを初めて発見し、「Tannic acid suppresses SARS-CoV-2 as a dual inhibitor of the viral main protease and the cellular TMPRSS2 protease」のタイトルで論文を発表した。この論文が昨年12月、米国の医学雑誌『American Journal of Cancer Research』に掲載され、海外の学術界や医療機関から高い関心を集めている。新型コロナウイルスの予防と治療に新たな指針を示す、将来性の高い研究テーマと見られている。
 
洪明奇校長によると、タンニンは水溶性のポリフェノールの一種で、野菜、果物、ワイン、茶葉など植物界に広く存在している。ポリフェノール化合物には抗酸化作用やフリーラジカルを消去する機能があり、抗炎症の効果もある。重症急性呼吸器症候群(SARS)がまん延した際、関連の研究でSARS治療に効果があることが証明されていたことから、今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関しても研究チームが研究を行っていたところ、新たな発見が得られたという。
 
洪明奇校長の指導の下、王紹椿教授と陳曄副教授による研究チームが分子実験を行った結果、分子実験による分析で、タンニンが新型コロナウイルスのメインプロテアーゼとTMPRSS2(II型膜貫通型セリンプロテアーゼ)と安定した複合物結合を形成し、その活性を抑制することを実証した。機能性試験でもタンニンが新型コロナウイルスの細胞侵入を抑制することを発見した。この研究の結果は、タンニンが二重阻害剤としてウイルスの活性、つまり宿主細胞への侵入を抑制する能力を持っていることを意味しており、今後新型コロナウイルス感染症の治療薬開発につながる可能性が高い。
 

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