2024/04/28

Taiwan Today

政治

蔡総統、国内外報道機関向けに年末の談話発表

2017/01/03
蔡英文総統(右)は2016年12月31日午前、国内外の報道機関を招いた茶話会を開催し、年末の談話を発表した。蔡総統は、2016年の実績について振り返ると共に、2017年の施政について展望を述べた。写真は台湾の報道機関からの贈り物を手にする正副総統。蔡総統には「台湾を輝かせ、新たな歴史を刻むように」との願いが込められたブック型ライトが、陳建仁副総統(左)には「台湾を世界へ」との願いが込められた地球儀が贈られた。(中央社)
蔡英文総統は2016年12月31日午前、国内外の報道機関を招いた茶話会を開催し、年末の談話を発表した。蔡総統はまず、2016年5月20日の新政権発足以来、政府が実施してきたことについて説明した。
 
蔡総統によると2016年は、経済の構造転換にとって重要な鍵を握る「5+2」イノベーション産業計画が、少しずつ具体化した年となった。「5+2」イノベーション産業とは、政府が掲げる「五大イノベーション産業」(「グリーンエネルギー」、「スマート機械」、「バイオ医薬品」、「アジアのシリコンバレー計画」、「国防」の5つの産業)に、「新農業」と「循環型経済」の2つを加えたもの。そのうち「グリーンエネルギー産業」については「沙崙科学城計画」が2016年11月6日に始動した。「新農業」については政府の主導で12月5日、台湾の農産品や農業資材の輸出を手掛ける「台湾国際農業開発股份有限公司(=株式会社)」が設立した。「アジアのシリコンバレー計画」については、行政院(内閣)が主導する「アジアのシリコンバレー執行センター」が12月25日に台湾北部・桃園市に発足したばかり。「バイオ医薬品」についても、2017年初旬に「バイオ医薬産業計画執行センター」が発足する予定。
 
また、「食の安全性」問題については、「毒物及び化学物質局組織法」が成立し、専門機関である「毒物及び化学物質局」(略称、化学局)が発足した。これにより、政府が掲げる「食の安全性」のための「5つの関門」(規制強化)に、重要な基礎が築かれることになる。「社会のセーフティネット」に関しては「住宅法」が可決。「労働者の権益確保」においても改正「就業服務法」が可決し、外国人労働者の人権保障が大きく改善されることになった。また、完全週休二日制を施行し、且つ企業に一定の経営の柔軟性を持たせるため、「労働基準法」を改正した。
 
蔡総統はこれらの実績を説明した上で、「2016年は基礎作りであり、2017年こそ積極的な建設を進める」とし、2017年の施政の重点を次の4つにまとめた。
 
第一に、全力で台湾経済の振興を目指すこと。これは2017年における最優先課題となる。その手始めとして2017年は「経済の構造転換の加速」と「インフラ投資の全面的拡大」を実施する。そのうち「インフラ投資」については、先見性を持った積極的な財政政策により、投資を拡大する。全般的な次世代インフラ建設に関しては、各方面のニーズを下記のようにまとめている。
 
1.台湾高速鉄道、在来線、台湾鉄道、台湾各地の電車・地下鉄などのグリーンな軌道輸送システムの統合。
2.ブロードバンド及び超広帯域無線(UWB)のクラウド環境作り。
3.気候変動に備えた水害、干ばつ対策工事。
4.高齢化社会突入へ向けた、ソフト及びハード両面でのインフラ施設の完備。
5.基礎科学研究が必要とするインフラの強化。
6.脱原発、温室効果ガス削減など、エネルギー構造転換に必要なインフラ作り。
 
蔡総統によると、これらについては2017年3月に行政院が、より完全かつ先見性のあるインフラ建設計画を提示し、今後の施政の根拠とする方針。
 
2017年の施政の重点の第二は、各種の重大改革を継続すること。特に年金制度の改革が、政府にとって最優先課題となる。
 
年金改革の重点は、国家財政のサステナビリティを実現することにある。簡潔にまとめると、台湾住民が退職後、きちんと「退休金」(退職金を兼ねた年金)を受け取り、且つ長く受給できるようにする。
 
第三は、変動する国際情勢の中、臨機応変な行動をとり、且つ平和と安定した情勢を維持すること。中華民国政府は積極的に「新南向政策」を推進し、東南アジア、インド、ニュージーランド、オーストラリアなどの国々と、多元的な交流と人的往来を進めていく。「新南向政策」にとって2017年は「行動の年」となる。
 
台湾はまた、主要な貿易相手国や地域、例えば米国、日本、EU(欧州連合)との対話を続け、二国間あるいは多国間の経済協力協定を締結し、「相互利益」、「ウィン・ウィン」の関係を作り上げ、これによって国際社会との経済・貿易関係を拡大し、台湾経済のために活路を見出す。
 
外交政策に関しては、今後も地に足の着いた「踏実外交(堅実な外交)」と「互恵互助」という新たな外交理念にのっとり、各方面で協力を拡大し、台湾と海外諸国との実質的な関係強化を目指す方針。
 
蔡総統はまた、中国大陸との関係については、それが困難だからといって避けて通るかどうかは、台湾に忍耐力と揺るぎない信念があるかどうかによって決まるものだが、もう一方で、中国大陸の当局が台湾海峡両岸関係の未来をどのように考え、責任をもって新たな考え方や手法で、両岸の新たな交流のモデルを作り上げ、そして両岸住民とこの地域に住むあらゆる構成員が望む平和的発展という期待に応える意欲があるのかどうかにもかかっていると説明した。
 
2017年の施政の重点の第四は、国内の対立解消に前向きに取り組むこと。蔡総統は、「国民を二分化するような議題が出現したとしても、総統として自分は一歩退くことはせず、これらの課題について話し合う空間を設け、より合理的な解決方法を探せるよう知恵を絞るべきだと考える」と述べた。
 
蔡総統は最後に、2017年元旦に実施する国旗掲揚式典の精神で、政府と台湾住民が互いに励ましあい、努力したいと指摘。国旗掲揚式典のテーマは「2017、我們一起(2017年、我々は共に)」であり、台湾の住民と共に努力し、政府と国民が一丸となって困難に立ち向かい、新しい年を迎えよう、と締めくくった。

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