2024/04/30

Taiwan Today

政治

「前瞻基礎建設計画」で景気の刺激・変革の加速・国家競争力向上を=行政院長

2017/03/24
林全行政院長(左)は23日、閣議後に自ら記者会見を開き、「将来を見据えたインフラ建設計画」に関する対外的な説明を行った。(中央社)
林全行政院長(首相)は23日、閣議後に自ら記者会見を開き、「前瞻基礎建設計画(将来を見据えたインフラ建設計画)」に関する対外的な説明を行った。それによると、政府は景気を刺激し、変革を加速するため同計画を推進する。内容は、産業の変革に合わせた「グリーンエネルギー及びデジタル建設」、生活環境とその品質の適正化に向けた「都市と地方、及び水環境の建設」、グリーン運輸システムへと邁進する「軌道建設」。8年間に8,824億9,000万台湾元(約3兆1,893億日本円)の経費を投じることで、公営事業や民間企業による1兆7,777億3,000万台湾元(約6兆4,247億日本円)の投資を直接呼び起こせると期待。8年間で実質GDP(国内総生産)を9,759億台湾元(約3兆5,269億日本円)増やし、4万人から5万人分の雇用機会を創出する。
 
林行政院長は、昨年5月20日の政権発足以来、いかにして経済を振興していくかを積極的に検討し、すべての経費を最も効果的なポイントに投じることに心を砕いてきたと説明。「将来を見据えたインフラ建設」という言い方には、「景気を刺激できる政策など、すべきことは早く始めた方がよく、政府は前倒しで着手すべきである」との意味合いが込められているという。
 
「産業の変革に合わせる」部分は、グリーンエネルギー建設及びデジタル建設。そのうちグリーンエネルギー建設で最も重要なのは太陽光発電、風力発電、及び関連の研究開発、並びにその長期的な発展基地の設置。政府は243億1,500億台湾元(約878億7,489万日本円)を投じ、民間による1兆4,225億台湾元(約5兆1,409億日本円)の投資を呼び起こすと期待。政府は、風力発電施設の建設を通じて、関連の産業の持続可能な経営を実現したいとしている。
 
デジタル建設について林行政院長は、まもなく始まる「第4次産業革命」がデジタル経済を産業に注入することですべての産業形態が変わっていくと指摘、台湾がこの流れに取り残されず、参与していけるようにと希望した。このためデジタル建設はブロードバンドとウルトラ・ワイドバンド(UWB)によるスムーズなネット利用と安全性確保、ネット利用者の人権に対する基本的な保障、文化クリエイティビティと高付加価値製品の産業化、スマート都市の建設と学習環境の構築を目標に、460億6,900万台湾元(約1,664億9,428万日本円)を投じ、2,381億4,000万台湾元(約8,606億4,272万日本円)の民間投資を呼び起こす。
 
「生活環境と品質の最適化」には都市と地方の建設と水環境の整備が含まれる。水環境の整備は、供給される水の質と量の安定化、給水ネットワークの構築、排水問題の解決、浸水地域の改善、暮らしの中の親水性の確立など。2,507億7,300万台湾元(約9,062億9,863万日本円)を投じる。都市と地方の建設では各地の経済的需要に応えてバランスのとれた経済発展を図り、地方の地元経済を活性化する。産業パークや文化生活圏、公共サービス拠点の増設、先住民族と客家(台湾で2番目に大きいエスニックグループ)の人たちのための「省道台3線建設」などで、地方の発展を実質的に助ける計画。1,372億台湾元(約4,958億日本円)が投じられる。「省道台3線建設」とは、台湾省管轄の道路である台3線の沿路約150km、16の郷・鎮・市・区(台湾の行政区分、市町村などに相当)及びその周辺の発展を目指すもの。
 
「グリーン運輸システムへと邁進する」軌道建設には4,241億3,300万台湾元(約1兆5,328億日本円)が投じられる。目標は在来線・台湾鉄道と台湾高速鉄道の組み合わせによる鉄道網構築で最大の効果を発揮すること。台湾鉄道における東部区間の複線化と南回り線路の電化、台湾鉄道のスピードアップに向けたスマート管理の導入及び、台湾高速鉄道並びに都市軌道交通との連結などが内容。また、台湾鉄道の機能を一層発揮させるため、台湾南部・屏東県に位置する枋寮支線に「トラム・トレイン」に類似したシステムを導入すること、台湾中部・嘉義県にある登山鉄道、阿里山森林鉄道と台湾中部・南投県にある集集支線の建設をさらに強化し、観光文化面での利益を拡大することなども目指す。
 
すでに執行中の計画がさらに前倒し可能ならば特別予算にそれも加える。特別予算全体の8,824億9,000万台湾元のうち、すでに確定している計画は14.57%、1,286億2,100万台湾元(約4,648億3,886万日本円)を占める。そして新たな計画は85.43%、予算は7,538億6,900万台湾元(約2兆7,244億日本円)となる。
 
「将来を見据えたインフラ建設」による全体的な経済効果については、少なくとも8年間で実質GDPを9,759億台湾元増やせ、名目GDPは1兆732億台湾元(約3兆8,785億日本円)増やせるものと見込んでいる。中央政府の税収は8年間で958億台湾元(約3,462億日本円)増え、4万人から5万人分の雇用機会を創出できるという。
 
また、政府が8,824億9,000万台湾元を投じることで、直接呼び起こすであろう公営事業と民間企業の投資額は少なくとも1兆7,777億3,000万台湾元と予想。そのうちデジタル建設(2,381億4,000万台湾元=約8,606億4,272万日本円)とグリーンエネルギー建設(1兆4,225億2,000万台湾元=約5兆1,410億日本円)が最も重要な2つの項目となる。
 
関係省庁はそれぞれ4月末までに予算案を行政院(内閣)に提出。行政院主計総処がこれをまとめた上で、5月中旬前後には完全な予算案として立法院(国会)に送り、「将来を見据えたインフラ建設特別条例」草案と共に審議を受けることになる。
 
 

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