2024/05/04

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政治

情報電子戦軍創設で蔡総統「有形の国土を防衛、デジタル国土も譲らず」

2017/06/30
中華民国(台湾)の電子戦戦力を高めるため、国防部参謀本部「情報電子戦軍指揮部」が29日に正式に発足した。プレートの除幕式が行われ、蔡英文総統(プレートの左)が出席した。(総統府提供、中央社)
中華民国(台湾)の電子戦戦力を高めるため、国防部(日本の防衛省に相当)参謀本部「資通電軍(情報電子戦軍)指揮部」が29日に正式に発足した。蔡英文総統は同日午前に忠信基地で編成式典に出席、「情報の安全保障は国の安全保障」だと強調し、「情報電子戦軍指揮部」がリソースの積極的な統合、並びに情報通信面での人材の育成に努め、情報の安全保障に向けてのリード役を務めることに期待した。
 
蔡総統は、同指揮部の創設は中華民国(台湾)の国防が全面的に電子戦の時代に入ったことを象徴していると強調、国家の安全が向き合う脅威は過去と異なり、従来の国境の観念を明らかに超越していると同指揮部設立の背景を説明した。そして、政府機関であるか民間企業であるかに関わらず、その運営の多くがネットワークに頼り、重要な情報の多くがデジタル化されているため、情報の安全を保つ環境に抜け穴が生じればハッカーの侵入を許すことになると指摘、その場合の国全体に対する危害は従来型の武器による攻撃に劣らないと警戒した。
 
蔡総統は、昨年5月の政権発足以来、国として情報保護能力を絶えず強化してきたとし、行政院(内閣)での情報安全管理処設置や台湾にとって初の情報安全管理法を準備していることを例に挙げた。
 
蔡総統は情報の安全レベルを国家の安全保障レベルに引き上げる必要性を重ねて強調、「情報電子戦軍」の設立は「情報の安全性を国の安全保障とみなす」ことの具体的な行動の一つだと説明した。蔡総統は、台湾には完璧な情報安全ネットワークを築くための技術と人的資源がそろっており、必要なのはそれらを統合する行動と決意だと述べている。
 
蔡総統によると、これまで情報、通信、電子戦に関する任務は軍の「資電作戦指揮部」、「電訊発展室」及び各部隊に散らばっていた。このため、「情報電子戦軍指揮部」を設立し、こうした戦力を統合させる。そして国防部参謀本部通信電子情報次長室の戦略的なリードの下、国家中山科学研究院と産学界の技術支援を得て、完璧な戦闘部隊を整備するという。
 
蔡総統は、「情報電子戦軍」の設立は国防面での重大な革新であり、中華民国の軍事戦略におけるイノベーションだと強調、同軍はネットワークの防護を核心とし、通信の安全を基礎にし、電磁波を用いた軍事活動の発展を見据えていくと説明した。蔡総統はそして同軍が従来型の空、海、陸の防衛といった概念を超越し、何重もの抑止戦略における最初の抑止兵力として各軍の垣根を越え、軍による合同作戦の模範となるよう期待した。そしてこの目的を達成するため、同軍に三つの任務を与えた。
 
三つの任務とは、
1、積極的に統合を進めること。軍の情報、通信、電子の各関連部署のみならず、国防部以外の関係省庁と緊密な協力を行うこと。さらに民間の技術と力も統合し、同指揮部にイノベーションの原動力を保たせること。
2、情報通信面での人材育成を強化すること。優れた人材を同指揮部に引き付けられる環境を整備すること。
3、リード役としての機能を発揮すること。同指揮部の編成は政府全体の情報安全政策の最前線だが、国内の産学研究の発展をリードする役割も果たすこと。
 
「情報電子戦軍」の優れた人材、並びにハイエンド技術に対するニーズは学校での教育と研究に啓発を与え、産業のレベルアップと変革も促すことになる。蔡総統は、将来は「情報電子戦軍」と、国内の学術界及び産業界との密接な交流が実現するよう期待。そして、「有形の国土は断固として守る。デジタル面での国土の上でも我々は絶対に譲らない」と強調した。
 

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