2024/05/07

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政治

大法廷の新制度が可決成立、終審裁判所に統一見解

2018/12/11
「法院組織法」と「行政法院組織法」が改正され、終審裁判所に「大法廷」が新たに設けられることに。終審裁判所の審理で特定の法律を適用する際の見解が統一される。写真は「大法廷」の仕組みを説明する図。(司法院提供、中央社)
立法院(国会)が7日、「法院(裁判所)組織法」と「行政法院(行政裁判所)組織法」の一部条文を改正し、終審裁判所に「大法庭(大法廷)」が新たに設けられることになった。これにより、終審裁判所の審理で特定の法律を適用する際の見解が一つになり、同じ法律であるにもかかわらず裁判によって見解が異なる状況が避けられる。
 
新制度に基づき、「最高法院(最高裁判所)」の民事法廷と刑事法廷にそれぞれ民事大法廷と刑事大法廷を設置する。いずれも人員は11名。「最高行政法院(最高行政裁判所)」には大法廷を設ける。人員は9名で任期は全員2年。大法廷は、個別の案件を審理する法廷で特定の法律の適用に関する見解が異なる場合、同法廷からの提案に応じて審理を行い、口頭弁論終了後30日以内に「法律見解」を発表する。提案した法廷は大法廷による裁定を以って終審とする。大法廷が開かれている間、一般市民が傍聴することも可能。
 
終審裁判所での審理で裁判官が判決を下す際、その法律を適用する上での見解がそれ以前の他の法廷での見解と異なっていた場合、自発的に大法廷に提案することが出来る。また新制度では、当事者にも法廷を通じて大法廷に提案する権利が与えられる。また、大法廷は異なる意見書の制度も採り入れ、大法廷の裁判官に異なる意見があった場合、裁定の発表時にその意見書も公表する。
 
一方、今回の法改正により、判例制度と決議制度が廃止される。改正後の条文は総統の公布から6か月後に施行となる。判例と決議が効果を失うことから、これまでに判例や決議を引用して下された判決については司法救済として大法官による解釈を求めることが出来る。
 
各法廷が大法廷に提案するパターンは「岐異提案」と「原則重要性提案」。「岐異提案」とは、各法廷がある案件を審理する中で、判決の基礎となる法律についての見解と最高裁判所が過去に行った裁判でのそれとが一致しない場合、他の各法廷に意見を求めることになる。その上でやはり見解に差異があると確認されたならば、大法廷に提案して見解を統一する義務があるというもの。
 
「原則重要性提案」とは、各法廷がある案件を審理する中で、判決の基礎とする法律についての見解が原則としての重要性(「法律続造」を促す、あるいは新しく、重大かつ普遍性を持つ法律問題でありただちに、もしくはあらかじめ統一見解が必要だと考えられる)を持つと判断した場合、その法律に対する見解の問題を大法廷に提案し、その審理に委ねることができるというもの。「法律続造」とは、法律に規定が無い、もしくは漏れている場合に裁判官が法学方法論に基づきそのケースにおける適用を探ること。
 
 

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