2024/04/30

Taiwan Today

政治

世界初、新学年度から東南アジア7言語が選択必修科目に

2019/06/26
教育部は25日、8月下旬から始まる新学年度で義務教育段階の選択必修科目に追加する東南アジア7言語の教材を発表した。東南アジア7言語を同時に義務教育の選択必修科目に組み込むのは世界初の試みとなる。(教育部)
教育部(日本の文部科学省に類似)は25日、8月下旬から始まる新学年度で義務教育段階の選択必修科目に追加する東南アジア7言語の教材を発表した。台湾人配偶者との結婚をきっかけに台湾に移り住んだ、いわゆる「新住民」と呼ばれる東南アジア出身者の子どもたちの母語教育を重視したもの。東南アジア7言語を同時に義務教育の選択必修科目に組み込むのは世界初の試みとなる。
 
この記者会見には駐台北ベトナム経済文化弁事処(台湾におけるベトナム大使館に相当)のNguyen Anh Dung代表(大使に相当)、フィリピンのマニラ経済文化弁事処駐高雄分処(台湾におけるフィリピン領事館に相当)のIrene Ng処長(総領事に相当)、インドネシアの駐台北経済貿易代表処(台湾におけるインドネシア大使館に相当)邦人保護・社会文化組のFajar Nuradi主任らがゲストとして出席した。
 
台湾の義務教育に関するカリキュラム・ガイドライン「十二年国民教育基本課程綱要」に新たに加わる東南アジア7言語とは、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、マレーシア、フィリピンの7か国で使用されている言語。新学年度より、小学校では1年生から6年生まで、閩南語(いわゆる台湾語)、客家語、先住民族各言語、東南アジア7言語から1つの言語を選び、週に1時間学ぶ。中学校では「弾性学習課程」と呼ばれるカリキュラムの一環として選択し、高校では第二外国語の授業の選択科目として学ぶことになる。
 
東南アジア7言語を選択必修科目に加えるため、教育部国民及学前教育署と新北市教育局は2016年に編撰委員会を発足した。内訳は学者、専門家、現役の中学校の校長や教職員から成る「中文編審委員」5名、「新住民語編審委員」14名、「中文編輯委員」30名、「新住民語編輯委員」29名の合計78名。これらの委員が協力して、小学校の第1~第3学習段階の教材12冊、中学校の第4学習段階の教材6冊、各言語で合計18冊、東南アジア7言語で合計126冊の教材を編纂した。
 
教育部国民及学前教育署は同時に、国立中央大学(台湾北部・桃園市)や財団法人資訊工業策進会(III)と協力して、東南アジア7言語のデジタル学習教材も開発している。現在は第1学習段階の教材が完成している。内容は、7つの言語の教科書本文を中国語と東南アジア言語の2つの発音で録音し、これに基づいて会話したり、質問を聞いて答えたり、あるいは音楽を聴くことができるといったデジタル教材を設計するというもの。ペーパーレスで環境に優しいだけでなく、多様なメディアと連動し、複数のウィンドウを開いて閲読できるなどの特徴を活かし、言語学習の過程をより豊富で多様なものにし、東南アジア言語の教学の質を高める。
 
新住民の子どもたちに対する母語教育を徹底するため、教育部はICT技術を使った遠隔教育も実施する。スタジオにいる教職員が複数の学校に対して同時に遠隔教育を施すことで、交通が不便な地方に住む児童もこれらの言語を学ぶことが出来る。
 
台湾ではいわゆる「新住民」と呼ばれる東南アジアにルーツを持つ子どもが、小学校:4万8,043名、中学校:4万3,213名、高校:4万5,543名、大学:1万7,188名、合計15万3,987名いる。
 

ランキング

新着