2024/04/28

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14日の隔離が必要な渡航者、3/11からタクシー利用を義務付け

2020/03/04
交通部(日本の国土交通省に類似)はきょう(4日)から、各空港に待機するタクシーやハイヤーの運営会社を通して、「居家検疫」対象者の送迎サービスの提供を開始した。3月11日以降は「居家検疫」対象者が公共交通機関を利用して自宅や宿泊先に向かった場合、「厳重特殊伝染性肺炎防治及紓困振興特別条例」に基づき最高100万台湾元(約360万日本円)の罰金を科す。(中央社)
台湾は現在、新型コロナウイルスの感染が拡大している中国、香港、マカオ、韓国、イタリア、イランから台湾への渡航者(トランジット含む)に対し、14日間の「居家検疫(=在宅検疫、Home Quarantine。事実上の在宅隔離)」を義務付けている。しかし、これらの渡航者が空港から自宅や宿泊先へ向かう際、公共交通機関を利用できるかどうかについては、これまで明確な規定がなかった。
 
交通部(日本の国土交通省に類似)はきょう(4日)から、各空港に待機するタクシーやハイヤーの運営会社を通して、「居家検疫」対象者の送迎サービスの提供を開始した。今後1週間を宣伝期間とするが、3月11日以降は「居家検疫」対象者が公共交通機関を利用して自宅や宿泊先に向かった場合、「厳重特殊伝染性肺炎防治及紓困振興特別条例」に基づき最高100万台湾元(約360万日本円)の罰金を科す。
 
交通部によると、台湾桃園国際空港(台湾北部・桃園市)、松山空港(台湾北部・台北市)、台中空港(台湾中部・台中市)、高雄小港空港(台湾南部・高雄市)などに「居家検疫」対象者のための路線を設置し、掲示を強化する。適切な誘導により、「居家検疫」対象者がタクシー乗り場へ向かい、乗車できるようにする。家族や知人が迎えに来る場合はそれを優先するが、迎えに来る人がいない場合は空港待機のタクシーやハイヤーを利用してもらい、「居家検疫」対象者に対して自宅送迎(ドアツードア)の交通サービスを提供する。
 
短距離の送迎については、空港待機のタクシーの利用を優先する。運賃はタクシーメーターのとおり。目的地が営業範囲外である場合は、例えば台湾桃園国際空港の場合、空港送迎専門ハイヤーを利用してもらい、その費用は台湾高速鉄鉄道(=台湾新幹線)の正規運賃の2倍とする。1,000台湾元(約3,600日本円)未満は1,000台湾元として計算する。
 
離島の住民の場合、最寄りの港湾あるいは空港まで送迎する。つまり、空港待機のタクシーで国内線空港の松山空港、台中空港、高雄小港空港、基隆港、高雄港に向かい、そこから台東(台湾南東部)や離島まで移動する。離島到着後は再びタクシー、あるいは家族や知人が運転する車で帰宅する必要がある。
 
交通部によるこの「居家検疫者自機場返家交通方案(=「居家検疫」対象者を空港から自宅まで送り届ける交通プロジェクト)」策定を受けて、各地方自治体は「防疫タクシー」や「徴用タクシー」の用意を進めている。いずれも各自治体の衛生局(日本の保健所に相当)が配車の是非を判断し、市民のニーズに対応するとしている。直轄市(台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市)の対応は以下のとおり。
 
【台北市】
台湾北部・台北市では2月から「防疫タクシー」のサービスを実施している。これは、受診の必要がある「居家隔離」や「居家検疫」対象者の医療機関までの送迎を助けるというサービスで、利用者はまず台北市衛生局の防疫専用ダイヤルに電話する。電話を受けた衛生局の職員が、救急車を配車するか、「防疫タクシー」を配車するかを判断する。
 
台北市は現在、タクシー2台を「防疫タクシー」として「徴用」している。これらのタクシーは、一般の乗客を乗せて走ることはできず、「居家隔離」あるいは「居家検疫」対象者の送迎に特化している。台北市はタクシーと月間契約を結んでおり、日給3,500台湾元(約1.2万日本円)の手当てを支給する。利用者があれば、この日給に加え、タクシーメーターに応じた運賃を利用者から受け取ることができる仕組みになっている。ただし、配車の要望がない場合も常に待機している必要がある。この「防疫タクシー」2台は現在までに4回出動している。
 
なお、「防疫タクシー」の専属ドライバーがこれを辞める場合は、14日間の自主隔離が必要となる。また、自主隔離の期間も、市が毎日3500台湾元の手当てを支給するとしている。
 
【新北市】
台湾北部・新北市は、市が所有する「復康巴士(身体障害者専用送迎バス)」を利用することを決めている。現在は新北市衛生局に1台を提供し、「居家検疫」対象者のニーズに対応している。運賃は一般のタクシーと同様、メーター表示に従う。運転は、もともと「復康巴士」の運転を担当していたドライバーが担当し、市と月間契約を結ぶ。ほかの乗客を乗せて走ってはいけない。車両とドライバーの数は、今後の状況を見て調整する。
 
【桃園市】
台湾北部・桃園市では現在、「居家検疫」対象者が他の自治体に比べて少ないことから、これから「防疫タクシー」の台数や、車両を1日単位あるいは1か月単位で借り上げるかなど、詳細についてこれから検討するとしている。「防疫タクシー」は呼吸器系の症状が出ていない「居家検疫」対象者を医療機関まで運んで受診させるために使用し、その配車窓口は桃園市衛生局が請け負う。
 
【台中市】
「防疫タクシー」に加わる意欲のあるドライバーを募集している。「防疫タクシー」の台数や方法、ドライバーの教育・訓練などについては現在検討中とのこと。
 
【台南市】
台湾南部・台南市では現在、「居家隔離」、「居家検疫」、「自主健康管理」の対象者が医療機関を受診する際は、通報を受けた台南市衛生局と民政局の判断で、消防車あるいは自家用車のどちらで医療機関まで移動すべきかを決めている。台南市交通局は現在、この交通手段にタクシーを加える新たな計画を練っている。台南市のタクシーはこれに協力する意向を示しており、衛生局など関連の部署がタクシーでの送迎が必要だと認めた場合はこの計画を始動し、タクシードライバーの防疫訓練を実施し、市が防護グッズや手当を提供する方針。
 
【高雄市】
台湾南部・高雄市もすでに、「居家隔離」や「居家検疫」対象者が医療機関を受診する際に送迎を行う「防疫タクシー」のサービスを提供するため、ドライバーの教育・訓練を実施している。その内容は隔離対象者を送迎するためのマニュアル、ドライバーの自主防護、防護服の着脱方法、それに運転中は窓を開けて換気を行うことなどが含まれている。
 
高雄市ではまずタクシー4台を「防疫タクシー」として正規採用することを決めた。また3台を補欠採用している。高雄市の「防疫タクシー」は日中と夜の2シフト制で、休みの日を除くと、1か月約26日勤務となる。「防疫タクシー」は一般の乗客を乗せることはできない。市が支払う1日の手当ては3,500台湾元となることから、月収は約9万台湾元(約32万日本円)となる。乗客は運賃を支払う必要がない。但し、空港からの目的地が、高雄市以外の県や市である場合は乗客が実費を支払う。
 
高雄市の計画によると、発熱あるいは呼吸器系の症状がある場合は救急車を利用させる方針だが、「居家隔離」や「居家検疫」の対象者など、感染のリスクのある人が公共交通機関を利用する必要がある場合は、「防疫タクシー」を利用して医療機関を受診したり、空港から自宅に帰ったりできるようにする。
 

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