2024/05/04

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「92コンセンサス」は台湾海峡の平和の礎:楊新聞局長

2011/08/30
楊局長は国際法および国際関係の専門家で、アジア太平洋の安全保障、両岸関係をテーマとした論文も多数発表している。(中央社)
台湾紙の聯合報は、行政院新聞局の楊永明局長の投書を「92コンセンサスを支持することは中華民国を支持することである」との見出しで、28日の読者欄に掲載した。その中で、「92コンセンサス」は、台湾海峡両岸が折衝を重ねた結果、「一中各表(『一つの中国』の解釈をそれぞれが表明する)」という交流方法について達成した共通認識であると楊局長は強調した。 楊局長によると、両岸関係の変化は、台湾海峡とアジア太平洋地区の平和の安定に関わるものであり、台湾が責任を持って国際社会に参与する上で避けては通れない重要な議題である。楊局長は「1987年に両岸交流が再開、長期の折衝の中で、わが国政府は主権を堅持し一切譲歩せず、1992年の(香港)会談で『一中各表』というコンセンサスを得た。ここから、『92コンセンサス』は両岸交流の枠組みの基礎となり、両岸に関する議題の上で避けることのできない原則である」と指摘した。 また、「92コンセンサス」の意味するところ、「一中各表」について楊局長は、「これまでの具体的な実践から、われわれにとって『一つの中国』とは中華民国憲法上の中華民国であり、この位置付けは一貫して揺るがないものだ。馬英九総統が先ごろ談話で指摘したように、中華民国憲法は7度の改正(条文追加含む)を経たが、領土と主権および両岸の位置付けに関する規定は、4人の総統が歴任した20年に渡り、一切変わっていない」と説明した。つまり、92コンセンサスの「一つの中国」について、「従来から一貫してこれを曖昧にする余地や主権譲歩は一切なく、92コンセンサスを支持することは中華民国を支持することであると同時に、憲法による規定を支持することである」と楊局長は明言した。 楊局長はさらに以下のように指摘している。実際の成果という点からみると、過去3年にわたり、92コンセンサスを両岸の協議の基礎とし、「不統、不独、不武(統一せず、独立せず、武力行使せず)」の「三不(三つのノー)」政策が台湾海峡の平和の安定維持に貢献したことで、国内の支持と国際社会の肯定的評価を得ている。今年上半期の世論調査では7割以上の人々がこれを基礎とした上で、両岸の制度化した協議を進めることに同意した。 また両岸は、6度の「江陳会談(台湾側の江丙坤・海峡交流基金会理事長と大陸側の陳雲林・海峡両岸関係協会会長の会談)」では多くの画期的な成果を挙げ、貿易などの分野で15項目の協議を締結した。この協議の成果が、実質的な互恵を伴う交流協力につながると同時に、わが国と世界市場との結びつきをさらに強化した。海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)に基づくアーリーハーベスト(早期の実施・解決項目)による関税引き下げの実施後、今年1~7月の中国大陸向け輸出額は、前年同期比10.5%増加、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国向けは26.2%増加した。 92コンセンサスに基づく両岸政策は、わが国の実務的な国際協力事業への参加に関しても、支持獲得の余地が広がった。現在の国交樹立国23カ国との友好関係は安定し、米国など主要国家のリーダーの信頼も回復、117カ国・地域がわが国への査証(ビザ)免除措置を実施。6年間加入できなかった世界貿易機関(WTO)政府調達協定(GPA)にも加わり、3年連続で世界保健機関(WHO)総会にも参加した。 国家安全保障と両岸政策は、国家の利益に合致した実務的な主張に根ざし、主権と安全、尊厳を堅持すべきである。92コンセンサスは両岸の相互の折衝による結果であり、これを基礎として、1993年の辜汪会談(辜振甫・海基会元理事長と汪道涵・海協会元会長の会談)で両岸協議が新たな幕開けを迎え、その後多くの進展があったということは、このコンセンサスが両岸関係の平和的発展の基礎となっていることを意味する。 最後に楊局長は、「両岸情勢は平和と安定に向かって大きな一歩を踏み出し、過去60年で最も安定した相互交流の段階に入った。ただ、これはまだ始まったばかりであり、憲法の枠組みとコンセンサスの基礎のもと、次の世代のために平和的な環境を築くというわれわれの世代の正義を実現していかねばならない」と締めくくった。

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