台湾出身の漫画家、鄭問さんは今年3月に死去した。鄭問さんの弟子にあたる、台北市漫画工会(労働組合)の鍾孟舜理事長は18日、自身のフェイスブックに鄭問さんの展覧会が国立故宮博物院で行われると投稿。国立故宮博物院も18日にこれを認め、文化部(日本の省レベルに相当)並びに文化総会と共に、同博物院で来年3月に「鄭問展」を開催すると明らかにした。
国立故宮博物院によれば、日本の漫画界から「アジアの宝」と称えられた鄭問さんの作品は、水墨画の技法と西洋の絵画技巧を融合した特殊な画風で、台湾のアニメーション及び漫画業界に与えた影響は大きく、台湾漫画界の「国宝」と呼ぶにふさわしい。
国立故宮博物院の林正儀院長は就任以来、同博物院の公共化、地元化の推進に努めると共に、青少年とのリンクにも力を入れており、鄭問さんを記念する展覧会はこうした政策と一致する。
鍾孟舜理事長は、「多くの人に不可能だと言われた。また、これまで国立故宮博物院で作品を展示できた漫画家はいなかった。しかし自分はその実現を少しも疑わなかった。なぜならあそこは鄭問さんが行くべき場所だからだ。ただ、決まった時にはやはり涙を堪えられなかった。『鄭問展』が国立故宮博物院で開かれる!故宮で作品が展示される漫画家は初めてで、台湾漫画の大きな進歩を象徴している」と語った。
「これほど台湾を誇りに思ったことはない、これほど台湾の漫画家であることを誇りに思ったことはない」とする鍾理事長は、「中国大陸や香港には権利金を支払って『鄭問展』開催の権利を得ようとするグループがあった。しかし、我々はそれらについては全く考慮せず、鄭問さんの初めての個展を国立故宮博物院で行うことにこだわった。中国大陸や香港、日本の漫画ファンたちには台湾に来て見てほしい」と話している。