2024/05/01

Taiwan Today

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経済部、バイオベースマテリアル分野の商機狙う

2017/09/13
経済部技術処は12日、バイオ樹脂ポリエチレンフラノエート(PEF)やバイオベースマテリアルを使った発泡体などを応用した商品を紹介すると共に、同分野の技術開発を支援することでバイオベースマテリアル市場の商機開拓を目指す考えを示した。(経済部技術処公式サイトより)
環境に優しい「グリーン経済」に世界が目を向ける中、経済部(日本の経済産業省)は今後、台湾企業による新たなマテリアル技術の開発を支援し、バイオベースマテリアル市場の商機を狙いたいと考えている。
 
台湾でマテリアル産業は、電子産業に次ぐ2番目に大きな産業で、その生産高は6兆台湾元(約22兆日本円)を超える。世界で1年間に生産される鞋のうち5億足、機能性繊維の7割、ペットボトル原料の約6分の1は、いずれも台湾企業が供給している。しかし、世界が「グリーン経済」に注目する中、大手企業はバイオベースマテリアルやリサイクル可能なグリーン材料を積極的に導入するようになっている。欧州連合(EU)や米国では政府が法規制によって、グリーン材料のニーズを刺激する動きもある。
 
欧州連合で行われたある市場調査によると、バイオプラスチック(生物資源を原料とするプラスチック)がプラスチック全体に占める比重は2013年の1%から、2030年には40%に成長する見通し。生産高は3,200億米ドルに達する見込みで、これがバイオベースマテリアル市場の成長をけん引すると見られている。
 
経済部技術処の羅達生処長によると、同処は長年、科学技術発展プログラムの推進を通して、環境に優しいグリーン材料の開発に取り組んできた。これまで毎年、約8,000万台湾元(約2億9,000万日本円)の予算を投入してきた。今年の予算は約3,000万台湾元(約1億1,000万日本円)に縮小したものの、すでに取得している関連の特許は45項目、技術移転を行った企業は55社に上る。今後も引き続き研究・開発を進める方針で、派生するビジネスチャンスは5,000億台湾元(約1億8,000万日本円)に達すると見ている。
 
技術処ではこの科学技術プロジェクトを通して、台湾企業が「高品質」、「高価値」、「高友善(環境に優しい)」、「高循環」、「高安心(安心して使用できる)」の「5つの高」を目指し、新たなマテリアル技術を開発し、グリーン材料のサプライチェーンに食い込むことができるよう支援している。
 
技術処は12日に開催した記者会見で、バイオ樹脂ポリエチレンフラノエート(PEF)、バイオベースマテリアルを使った発泡体、高透湿防水で柔らかい肌触りが特徴の高機能性ファブリック、バイオ系軽量化複合材料、熱可塑性炭素繊維複合材料などの技術を紹介。また、これらの技術を応用した商品として、鞋のインソール、サーフボード、衣類、スーツケースなどを展示した。
 
台湾は材料資源に乏しいことから、経済部は財団法人工業技術研究院(ITRI)と協力し、台湾が開発したバイオベースマテリアルを武器に、EUやASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の企業との協力を積極的に進めている。中華民国政府が推進する「新南向政策」によるバックアップもあり、タイの企業とはキャッサバ、ショ糖、パーム油などの原料供給で協力し、欧州企業とは現地で盛んに生産されているブドウの「つる」を利用する計画を進めている。これは、ブドウの「つる」が持つ天然の抗酸化作用を利用することで、食品の保存期間を伸ばし、付加価値を高めることができるためだという。
 
 

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