2024/04/28

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「澎湖の『東西吉廊道』を種の保存地区に」、行政院長も前向き

2017/09/18
「澎湖南方四島国家公園」警察隊の蕭再泉小隊長(写真)は、この国家公園の「東吉嶼」と「西吉嶼」を結ぶ「コリドー」を禁漁とし、「種の保存」エリアにすることを提唱している。(蕭再泉氏提供、中央社)
アカウント名をYu-Chen Kyle Wuとする、ある人は17日、自身のフェイスブックに、台湾高速鉄道で頼清徳行政院長(首相)と偶然乗り合わせたことを投稿した。この人はめったにない陳情のチャンスだと思い、離島・澎湖の「澎湖南方四島国家公園」警察隊の蕭再泉小隊長が海洋資源の保護のために行っている努力、ダイビングの問題に対する陳其邁立法委員(国会議員)の関心など、ダイバーが政府に知ってほしいことを頼行政院長に話した。
 
わずか10分間の対話ながら、頼行政院長はこの人と海の環境問題について熱心に語り合い、海洋生物研究センター設立構想に言及すると共に、「蕭再泉小隊長の名前も覚えておく」と述べたという。
 
蕭再泉さんは17日夜、メディアの取材に対し、中華民国(台湾)は島国で、海によって国が成り立ち、発展するのだと強調、頼行政院長が海洋資源の保護を全力で支持する姿勢を見せたということに深く感謝した。
 
蕭さんは、海洋資源の保護に関心を寄せる与党・民進党籍の陳其邁立法委員も電話で自分を評価してくれたと明らかにした、陳立法委員はまた、国家公園におけるパトロール船の問題に関心を寄せ、蕭さんはこれに対し、同国家公園管理処は民間の船舶を借りてパトロールを行っていると説明したという。
 
以前、蕭さんは鉄路(鉄道)警察だったが、環境保護に強い関心があったことで1989年に墾丁国家公園(台湾南部・屏東県)の警察隊に異動し、違法行為を厳しく取り締まると共に、「海洋資源保護モデル地区」によって生態系と結びつけた観光旅行を発展させるよう提唱してきた。蕭さんは、地元の人たちと共に海洋資源の保護に乗り出し、海底の「墓場」をダイバーの「天国」に生まれ変わらせようと努力、墾丁では「岬の警察官」と呼ばれ、2011年には「全国模範警察」にも選ばれた。
 
2014年10月に「澎湖南方四島国家公園」ができると、澎湖出身の蕭さんは故郷へ転勤。刺し網や底引き網での漁を厳しく取り締まった。権力を恐れないその姿勢は各界の注目を集めた。
 
「澎湖南方四島国家公園」は2014年に設立された。澎湖県の「東吉嶼」、「西吉嶼」、「東嶼坪嶼」、「西嶼坪嶼」の四島、並びに周辺の島と岩礁など、同公園の海域面積は3万5,473ヘクタールに及ぶ。陸地面積は370.29ヘクタールで、合計3万5,843ヘクタールが「澎湖南方四島国家公園」。
 
澎湖では2008年に大規模な冷害が起きた。学者や専門家が南方四島で調査を行ったところ、「東吉嶼」と「西吉嶼」を結ぶ海域の冷害はそれほどひどくなかった。このため蕭さんは、「東吉嶼」と「西吉嶼」を結ぶ「東西吉廊道(コリドー)」を禁漁にし、「種の保存」エリアとすることで、持続可能な海洋漁業資源を守るという構想を持つようになった。
 
蕭さんは、「種の保存」エリアで漁業資源が育てるようにするため、同エリア内では全ての漁を禁止することを主張。面積は同国家公園のわずか3%、1,200ヘクタールに過ぎないため、漁業者の生計に影響しない他、将来的には観光業を発展させる最大の資源になると考えている。
 
現場での警察官は59歳になると定年退職せねばならない。蕭さんはあと3年で引退することになる。このため蕭さんは、退職するまでに「東吉嶼」と「西吉嶼」を結ぶ「コリドー」が「種の保存」エリアに指定され、マレーシアのシパダン海域に匹敵する海洋保護区が台湾に生まれることを願っている。
 
「澎湖南方四島国家公園」は中華民国(台湾)にとって9つ目の国家公園で、海洋国家公園としては2つ目。2014年の6月8日、世界海洋デーに指定が公示され、10月に正式に設立された。
 

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