2024/05/02

Taiwan Today

政治

映画『相愛相親』、三世代の女性の愛情に着目

2017/11/10
台湾出身の映画監督で女優の張艾嘉さん(写真)が監督と主演を務めた新作、『相愛相親(Love Education)』がゴールデンホース・アワードの7大部門にノミネートされた。(中央社)
台湾出身の映画監督で女優の張艾嘉(シルヴァア・チャン)さんが自らメガホンを取り、主演も務めた新作、『相愛相親(Love Education)』がゴールデンホース・アワード(金馬奨)の7大部門(最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞、最優秀脚本賞、最優秀主題歌賞)にノミネートされた。ゴールデンホース・アワードは台湾で行われる、「中国語映画のアカデミー賞」。
 
同作は張艾嘉さんが『203040(20.30.40の恋)』(2004)に続いて、再び三つの異なる世代の女性にスポットを当てたラブストーリー。張さんは、長く取り上げられてこなかった家庭のテーマであり、そこに時代の変化をいくらか盛り込んだと指摘、それは特に愛情の表現方法が世代によってそれぞれ異なる点だという。映画では家庭内で問題が一度に起きることで、各自が本音を言い始める。張さんは、人が付き合っていくのに最も大切なことはコミュニケーションだと考えている。
 
そんな例として張さんは今回香港から台湾に帰ってきた時、夫の王靖雄さんが香港の空港まで自分を送ってくれた時のエピソードを紹介。空港に着いて車を降りると2人はハグしようとしていたが、運転手が現れたため夫はそのまま帰ってしまったという。張さんはそこで夫にショートメッセージで文句を言ったところ、王靖雄さんはユーモアたっぷりに、「この悲惨な事件は運転手が携帯電話を忘れたことに起因する」と釈明した。張さんは、「もし自分がたずねなかったら、この事は『しこり』になっていたかもしれない」として、コミュニケーションの大切さを説いた。
 
映画では三世代の女性の恋愛観を巡ってストーリーが展開され、世代が異なってもみな少女のような純真な「乙女心」を持っていることが描かれる。張さんの「乙女心」は好奇心から生まれるそうで、「どんなことに対しても、質問したい気持ちをもっている。多くのことが自分の考えに沿うものでなかったとしても、やはり聞いてみるし、自分で自分を慰めもする」という。張さんは、心から楽しむ気持ちを保っていれば、「意外な喜びが人生をより豊かにするはず」と話している。
 
『相愛相親』で最優秀助演女優賞にノミネートされた女優、呉彦姝さんは79歳。呉さんは中国大陸における文化大革命の時代に農村に「下放」された。つらい日々を送ったことで、日焼けした顔には無数のしわが残る。しかし、呉さんはインタビューに対し、「思ってもみなかった。この顔中のしわがたくさんの栄誉をもたらしてくれるなんて」と話した。慈しみに満ちた笑顔には、これまでの長い人生が刻まれている。張さんは、「呉さんはとても小柄だけど、強靭な生命力を感じる」と話し、呉さんも「乙女心」に満ちているのだと指摘した。
 
ゴールデンホース・アワードにエントリーする中国語映画がますます増えていることについて張さんは、ノミネート作に台湾の作品が多いか、香港のものが多いか、中国大陸のものはどうか、などと分けて考える必要はないと主張。張さんは今年のノミネート作品に中国大陸、香港、台湾が協力して撮影した作品が多いことに触れ、「優れた人なら、それが誰であろうと一緒に作品を撮る」という姿勢を示すと共に、ゴールデンホース・アワードは最もオープンで、包容力のある映画のプラットフォームだと称えた。
 
『相愛相親』は、10月に韓国で行われた第22回プサン(釜山)国際映画祭でクロージング作品として上映された。
 
張艾嘉さんは今年のゴールデンホース・アワードで大記録を打ち立てるところだった。それは最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀女優賞に続いて、『分貝人生(Shuttle Life)』で最優秀助演女優賞にもノミネートされる可能性があったこと。しかし、結局、助演女優賞部門ではノミネートされず、新たな記録にはならなかった。
 
 

ランキング

新着