2024/05/03

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崑曲と日本舞踊・三味線との出会いによる『繡襦夢』、来年6月に横浜で

2017/12/14
中華民国(台湾)の国立京劇団、「国光劇団(GuoGuang Opera Company)」と日本の横浜能楽堂が台日による『繡襦夢』合作プロジェクトを進めており、来年6月から公演が始まる。写真は13日の記者会見の様子。左から常磐津文字兵衛さん、温宇航さん、王嘉明さん。(国光劇団提供、中央社)
中華民国(台湾)の国立京劇団、「国光劇団(GuoGuang Opera Company)」と日本の横浜能楽堂が台日による『繡襦夢』合作プロジェクトを進めている。台湾の王嘉明氏による演出の下、日本の能の『松風』と崑曲の『繡襦夢』を原型に、崑曲、舞踊、三味線を交え、現代音楽と人形劇も加えた新たな『繡襦夢』を生み出す。
 
「国光劇団」が13日に開いた記者会見には王嘉明氏と『繡襦夢』で主役を務める温宇航(オン・ユーハン)さん、日本の三味線の芸術家、常磐津文字兵衛さんが出席、稽古場ではなく厨房でそれぞれ料理の腕前を披露しながら演劇について語り合った。
 
この合作プロジェクトはすでにスタートから2年が経っており、今年からは台日双方の芸術家が台湾と日本で交互に稽古を行っている。共に過ごす時間が多くなったことで、これらの芸術家はみな料理が趣味であることがわかった。「国光劇団」の張育華団長は、「劇場と厨房に入るのは同じだと思う。様々な、異なる芸術内容や食材を一つにして、最終的にどんな新しい味を生み出すのか、とても楽しみだ」と話している。
 
また、温宇航さんは今回の合作プロジェクトが世界文化遺産同士の対話・交流であることに触れ、それぞれのパートを順番に演じるという通常の上演方式ではないと強調、「崑曲の歌い方はいわば線であるのに対し、日本の三味線は『ダ、ダ、ダ』 という点のリズムだ。リズム、音調、調性の全てが大きく異なる。どちらも自由に感情を伝える部分がある。だがこれまでの稽古を通じて全く違和感が無くなった」と述べた。
 
常磐津文字兵衛さんは日本の重要な三味線演奏家。小さい頃に中国大陸・北京で崑曲に接したことのある常盤津さんはずっと崑曲の美しさにあこがれていた。常磐津さんは、崑曲と三味線は大きく異なるとしながらも、「呼吸のリズム、台詞の最後の収め方は似通っている。今回のコラボレーションは大変うまくいっており、我々は新しい音楽言語を生み出したと感じている」と話した。
 
台日合作の『繡襦夢』は三幕。第一幕では伝統的な崑曲、『繡襦記』のダイジェストである『蓮花』。第二幕は日本の伝統舞踊の『汐汲』。そして第三幕では第一幕と第二幕の真髄を融合した、新たな『繡襦夢』が演じられる。
 
物語は、80歳になる唐の時代の書生、鄭元和が河畔で自らの一生を振り返り、初恋相手の李亜仙や科挙のため上京した思い出を語るもの。夢か現実かが定かでない中、内心の遺憾と美しい記憶が交錯する。
 
『繡襦夢』は来年6月9日から日本の横浜能楽堂、新潟市民芸術文化会館能楽堂、豊田市能楽堂で順次公演。9月には台湾に場を移し、9月8日と9日に台中国家歌劇院(台湾中部・台中市)の中劇院、14日から16日までは台湾戯曲センター(同北部・台北市)の大ホールで上演される。
 
 

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