2024/04/29

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中国大陸が台湾をより理解するよう望む=北京出身の学者

2018/02/22
中国大陸出身でカナダに滞在する学者、孔書玉女史(立っている人物)は台湾の「本土文学」を研究。客観的な研究と論述を通して、中国大陸に台湾をより理解させようとしている。(中央社)
中国大陸・北京出身でカナダに滞在する学者、孔書玉女史は近年、数度にわたって台湾を訪問し、台湾の「本土文学」の研究を行っている。この「本土」とは、台湾の人たちの生活や思想を指し、それらを写実的に描いた文学が「本土文学」。孔女史は今、客観的な研究と論述を通して、台湾の「本土」文化が生み出した歴史、並びに台湾の人たちがなぜ「本土文学」を重視し、いかにして「本土」文化教育を通して自らの暮らす土地を知ろうとしているのかを中国大陸側により理解させようとしている。
 
孔書玉女史は1988年に北京大学中国語文学科を卒業、その後、同大学で比較文学修士、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)でアジア研究学博士を取得した。カナダのアルバータ大学(University of Alberta)、オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)などで教え、現在はカナダ・バンクーバーのサイモンフレーザー大学(SFU)人文学科の教授を務めている。
 
孔女史が来台して台湾の「本土文学」を研究し始めたきっかけは、2009年11月に台湾の作家3人がSFUの林思齊国際文化交流センター(David Lam Centre for International Communication)で行った講演。この講演で孔女史は、台湾の「本土文学」は歴史や文化のみならず、地元に対する関心や生態系・環境保護などの問題をも包括しており、華人文化圏が学ぶに値するものだと気付いた。
 
このため孔女史は2016年と2017年に客員研究員として来台。2017年には離島の金門県、台湾東部の花蓮県で「本土文学」や生態系に関する文学のフィールドワークも行った。孔女史は、ここ2年間、台湾の書店や図書館で目にするヒット作はいずれも「本土文学」作品か台湾の歴史に関する書籍であることに驚き、感動したと話している。
 
孔書玉女史は、歴史的な要素により、台湾では中国、日本、並びに台湾の先住民族の文化が混ざり合っていると考えている。孔女史はかつてオーストラリアのシドニーで長期にわたって教鞭をとった。オーストラリアも様々な文化が集まっていたことから、孔女史は、自分は台湾の文学の寛容さをいっそう理解出来るとしている。
 
そして孔女史は、台湾での研究を通じて中国大陸に、台湾の文化構造とアイデンティティをより理解させられるよう希望している。孔女史は、「自分の研究は台湾の人たちにとっては取るに足らないものかもしれない。しかし、中国大陸の人たちにとっては馴染みがなく、知るべきことだ。政治的な関係がどうあろうと、台湾海峡両岸は結局のところ互いについて知らなければならない。民間に敵意があるべきではないのだ」と話している。
 
 

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