2024/05/02

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台湾のNSRRCが恐竜化石からコラーゲン発見、世界の百大発見に

2018/03/16
国立シンクロトロン放射線研究センターの李耀昌博士率いる研究グループは、1億9,500万年前の雲南ルーフェンゴサウルスという恐竜の肋骨の化石に残った微細な血管の内部から、世界最古のコラーゲンとヘマタイトを発見した。写真は李耀昌博士が研究に用いた雲南ルーフェンゴサウルスの化石。(中央社)
国立シンクロトロン放射線研究センター(NSRRC)の李耀昌(Yao-Chang Lee)博士率いる研究グループは、2年間の研究を経て、1億9,500万年前の雲南ルーフェンゴサウルスという恐竜の肋骨の化石に残った微細な血管の内部から、世界最古の完全な状態で保存されたコラーゲンとヘマタイトの条痕(微結晶)を発見した。
 
李耀昌博士らの研究成果は、サイエンス誌Discoverによる「2017年、世界的な100の大発見」の12位に選ばれた。近年、台湾の学者が率いるグループが収めた成果が同誌で掲載されたのは初めて。
 
李耀昌博士の研究は、これまでの科学者の大半が行った恐竜の化石を溶解させてコラーゲンを抽出する破壊式のものではなく、新たな実験方法を確立した。それは、初めてシンクロトロン放射光を利用し、恐竜の骨を傷つけることがない非破壊式の解析方法だ。厚さ約30マイクロメートル(髪の毛の直径の3分の1相当)の化石片に、非破壊式二次元スキャンを行い、ルーフェンゴサウルスの肋骨の化石にあった微細な血管の内部から、Ⅰ型コラーゲン(脊椎動物に最も大量に存在する)の存在を証明した。このⅠ型コラーゲンは、血管壁の主要成分だ。
 
非破壊式の解析方法は、コラーゲンが化石の中でどのように存在していたかを解析することができる。今回の研究でルーフェンゴサウルスのコラーゲンは、ヘマタイトの微結晶からなるヘマタイトのセメンテーション(Hematite Cementation)にきっちりと封じ込められていたことを初めて発見した。このヘマタイトのセメンテーションの主な成分はヘモグロビンと鉄分を含むその他のタンパク質が分解して生じたもの。その中で鉄イオンが酸化防止の役割を果たし、コラーゲンが分解される確率を大幅に引き下げるのに一役買った。
 
Discoverは、米国で出版されている自然科学雑誌、1980年にTime社によって創刊された。毎号60万冊近く刊行され、世界で最も影響力のある科学雑誌の一つともいえる。世界中の様々な科学分野における最新の発見を伝えている。それらには、遺伝学、物理学、天文・地理学、古生物学、薬物治療など多岐にわたった最先端の科学知識が含まれる。なお、同誌が選ぶ「世界的な100の大発見」ランキングは、世界のメディアでどのくらい報道されたか、大手インターネットサイトでの検索率によって、その年の人気が高く重要な科学分野における新知識100が決められる。

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