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慈済がベジタリアン栄養研究データベース完成

2018/06/13
世界で三番目に大きく、アジアで最も完成度の高い慈済医療志業の「ベジタリアン栄養研究データベース」作成を指揮した大林慈済病院の林名男副院長。研究ではベジタリアンの市民の糖尿病罹患率が肉食の市民に比べ33~50%低く、脂肪肝や胆石などの疾病発症率も低いことがわかった。(中央社)

国際的な慈善活動で知られる台湾の仏教団体、慈済基金会が運営する慈済医療志業は、世界で三番目に大きく、アジアでは最も完成度の高い「ベジタリアン栄養研究データベース」を完成させた。これは数千人の市民に対し10年以上もの年月をかけて追跡調査をしたデータを基にしている。

 

データベース作成計画を指揮した大林慈済病院(台湾中南部・嘉義県)の林名男副院長によると、2005年に衛生福利部(日本の厚労省に類似)国民健康署に飲食習慣と健康との関係に関する研究計画の協力要請を申請した。そこから少しずつ展開を広め世界で三番目に大きいデータベースとなり、国内外でベジタリアン食の栄養分野研究における重要な資産となった。2月には慈済医療志業の林俊龍執行長が代表団を率いて米国を訪問、5年に一度開催される「国際ベジタリアン栄養会議(7th International Congress on Vegetarian Nutrition)」に出席した。同会議は今年で7回目を数え、36か国・地域の代表、750人以上が出席、慈済医療チームは「ベジタリアン食が脳卒中発症リスクをどのくらい軽減できるか」など複数の論文を発表した。

 

林名男副院長は、同研究について「慈済基金会が運営する病院の人間ドックに入る6,008人(平均年齢53歳)を対象とし、身長・体重・体脂肪・骨密度測定、大腸・胃内視鏡検査、エコー検査、採血などを行った結果をまとめた。さらに個人の学歴や飲食習慣、家族歴などを基本データに加え、栄養士の資格のある研究アシスタントのサポートを受けながら飲食頻度のアンケートに答えた。アンケートは70以上の設問(同じ食べ物をどれぐらいの頻度で食べているか、1日または1週間で何度ベジタリアン食を取り入れているか、など)からなり、一人ずつの飲食習慣を徹底的に調査した」と説明した。

 

慈済医療志業のデータベースは、調査対象となる市民に共通点が多いという特徴がある。例えば、喫煙せず生活習慣が似ており、その違いはベジタリアンかそうでないかというだけといったデータが多く含まれている。そのため、飲食を主な危険因子とし、それを基準にしてベジタリアンかそうでないかについて調査し、その結果を比べると、信頼度が高くなる。リスク要因を単純化することで飲食習慣が健康に及ぼす影響やその因果関係を証明することができるという。

 

さらに、研究に協力した人たちに対して、3年後に再度病院で全身の健康診断を実施、飲食習慣に変化があったかについても調査する。研究では、途中肉食からベジタリアンに変わる市民と最初からベジタリアンである市民の糖尿病の罹患率は、肉食を続ける市民のそれより33%から50%低くなっていることが分る。そして、脂肪肝や胆石などの疾病の発症率も低くなるという。これらの資料を台湾で実施している保険制度「全民健康保険」のデータベースと比較すると、ベジタリアンの人の医療費が比較的少ないことが判明した。


林名男副院長によると、慈済医療志業のデータベースは、米国のキリスト教アドベンティスト派の健康研究(Adventist Health Study)、欧州のがんや栄養に関する調査を行う英国のベジタリアン研究(EPIC-Oxford)についで世界で三番目に大きいデータベースだ。

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