2024/05/07

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ITRIと馬偕紀念医院新竹院区、3Dプリンタで治療用装具

2018/06/13
財団法人工業技術研究院(ITRI)は12日、馬偕紀念医院新竹院区(=病院。台湾北部・新竹市東区)の医療チームと共に、3Dプリンタを活用したサービスプラットフォーム「3D列印設計服務共創平台(AM as a Service)」を使って製作した治療用装具を発表した。写真左は工業技術研究院の張培仁副院長。(中央社)
製造業のあり方を大きく変える可能性を持つ重要な技術だと言われる3Dプリンタ(3次元プリンタ)。すでに医療業界でも広く活用されている。経済部(日本の経済産業省に相当)が実施する産業技術研究助成事業の支援を受け、財団法人工業技術研究院(ITRI)は12日、馬偕紀念医院新竹院区(=病院。台湾北部・新竹市東区)の医療チームと共に、3Dプリンタを活用したサービスプラットフォーム「3D列印設計服務共創平台(AM as a Service)」を使って製作した治療用装具を発表した。
 
工業技術研究院の張培仁副院長によると、この「AM as a Service」は工業技術研究院の各分野の専門家を動員し、「新竹七小公里高科技走廊」と呼ばれるハイテクコリドー(回廊)に位置する工業技術研究院創新園区(イノベーション工業団地)を拠点に、産官学のエネルギーを結集させたもの。治療用装具市場の巨大なニーズに焦点を当て、馬偕紀念医院新竹院区と協力し、ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)や手根管症候群の治療用装具、短下肢装具、人工補綴物(義肢・義足・義手など)を、患者の症状に合わせてカスタマイズし、3Dプリンタで製作する。台湾の医療分野における研究・開発能力を高めるだけでなく、政府が掲げる「5+2イノベーション重点産業」の一つ、バイオ医療産業におけるイノベーションの具体的成果とも言える。
 
現在は作業療法士が手作業で治療用装具を製作している。まず60度の熱水で材料を柔らかくして、患者の患部に当て、それを冷却して成形する。将来、3Dプリンタを導入することができれば、作業療法士の経験の違いによって治療用装具の出来が異なるという課題をクリアすることができる。患者の患部に合致した設計は、リハビリの過程をより快適且つ便利にする。工業技術研究は今回、その「入門編」となるドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)や手根管症候群の治療用装具のほか、馬偕紀念医院新竹院区と協力して立脚や歩行姿勢を矯正する短下肢装置や、身体障害を持つ児童のための義肢などを、3Dプリンタで製作するのに成功した。
 
プラットフォーム「AM as a Service」は、工業技術研究院が開発したスキャナー、3D成形、構造成形、アディティブ・マニュファクチャリング(AM、積層造形)技術を融合したもので、クラウドサービスを活用して、現場の医師が遠隔で随時意見をフィードバックすることができる。こうして3Dプリンタを使い、治療用装具の最適化設計を完成させ、カスタマイズされた装具を製作する。このプラットフォームのビジネスモデルは、半導体設計会社とOEM企業の協力と似ており、将来は病院側が製作したい装具の初期デザインを提供すれば、その情報がクラウド経由で医療器材のサプライヤーに送られ、3Dプリンタで製作することになる。
 
工業技術研究院は6月21日から24日、台北世界貿易センター第1展示ホール(台湾北部・台北市信義区)で開催される台湾国際医療見本市(MEDICARE TAIWAN)に出展(小間番号は「A0511a」)し、この次世代3Dプリンタのプラットフォーム「3D列印設計服務共創平台(AM as a Service)」に関する展示を行う予定。
 
 

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