2024/05/19

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台湾版『十年』、5人の映画監督が未来を占う

2018/07/10
2016年に高く評価された香港映画、『十年』のシリーズ作で台湾を舞台にした『十年台湾』が7日に初上映された。5人の映画監督が5つのエピソードで台湾の向こう10年を占っている。写真は初上映に立ち会った関係者たち。左からプロデューサーの劉嘉明さん、伍嘉良監督、プロジェクトの発起人の1人である蔡廉明さん、勒嘎・舒米監督、俳優の廖慧珍さん、呂柏勲監督、謝沛如監督、廖克発監督。(中央社)
2016年の香港映画、『十年』は香港の映画賞である「香港電影金像奨(Hong Kong Film Awards)」で最優秀作品賞を受賞した。その後、同作品の制作会社である「十年電影工作室」は「十年」をテーマとした国際版を計画、そのうち台湾を舞台とした『十年台湾』が7日、「台北電影節(TAIPEI FILM FESTIVAL)」で初上映された。『十年台湾』では、5人の映画監督が5つのエピソードで台湾の向こう10年を占っている。
 
「十年」国際版は、『十年台湾』、『十年日本』、『十年タイ』で、各地の映画作家が独自の視野で未来を映し出す。7日に中山堂(台湾北部・台北市)で行われた初上映には「十年」シリーズ映画プロジェクトの発起人の1人、蔡廉明さん、香港の映画監督の伍嘉良さん、『十年台湾』でメガホンをとった映画監督、勒嘎・舒米さん、呂柏勲さん、謝沛如さん、廖克発さん、そしてプロデューサーの劉嘉明さんらが集まった。
 
香港映画の『十年』は人権や民主といったデリケートな政治問題について、5人の監督が社会や政治の角度から想像力を発揮した。『十年台湾』も同様に5つのエピソードからなるオムニバス映画で、エピソードは、『悪霊缶頭』、『942』、『路半』、『蝦餃』、『睏眠』の5本。内容は台湾の人と結婚して台湾に移り住んだ海外籍の人である「新住民」の問題、先住民族の物語、少子化と大気汚染の現状などに及び、映像を通じて台湾社会の想像上の未来を描き出している。
 
「十年」シリーズの作品ではあらかじめ5人の監督を選定し、題材はそれから各監督が提示する方法をとっている。劉嘉明さんによれば、同シリーズ映画プロジェクトでは台湾の新鋭監督たちに各自特色を出させ、より多くの交流経験を積ませると共に作品に国際的な視野を持たせようと試みた。『十年台湾』が焦点として取り上げている面について劉さんは、台湾で最も貴重な価値は多元性で、「様々な声が伝わってくる。誰にでも自由に意見を述べる機会がある」と話す。
 
『悪霊缶頭』を手がけた勒嘎・舒米監督は、プロジェクトに選ばれたと知った時はとてもうれしかったとした上で、先住民族の1人として映画を通じて先住民族の見方と、先住民族に関して速やかに広く知られるべきことを伝えたかったと話す。勒嘎・舒米さんは、「こうしたことをみな問題だと考えることに慣れてしまっているが、『十年台湾』はこの土地に様々な暮らしの姿があることを伝えている。台湾は海に浮かぶ島だが、そこには多様な生活がある」と述べている。
 
『睏眠』の廖克発監督はマレーシア出身。台湾で10年間映画を学んだ。廖さんは今回の機会を利用して自らの過去を振り返り、未来を展望したという。『睏眠』は睡眠と記憶を題材に社会を見つめた作品。面白いのは、タイトルから「目」を取り去ると、「困民」となること。初上映会で廖さんは、観客からの面白い質問に期待した。
 
『蝦餃』の謝沛如監督はユーモラスな手法で少子化問題を提起。『路半』の呂柏勲監督は、プロジェクト参加が決まってから、10年後にどんなことが起きるのかと考え続けたという。呂さんは、『路半』では地方に残った人と地方を離れた人たちの間でどのような出来事が起きるかを見てほしいと話している。
 
 

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