2024/05/03

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台湾で卵子提供受ける外国人急増、3年間で約5倍に

2018/07/16
衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)国民健康署の統計によると、台湾では2016年、延べ3万4,486人が人工授精を行った。そのうち卵子提供を受けて人工授精を行った女性は延べ2,146人。その半数近くが外国人だった。内訳を見ると、中国大陸、香港、日本からが最も多い。(聯合報)
晩婚化やストレスの増大により、不妊に悩む人が増えている。衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)国民健康署の統計によると、台湾では2016年、延べ3万4,486人が人工授精を行った。そのうち卵子提供を受けて人工授精を行った女性は延べ2,146人。これは、5年前の延べ508人を大きく上回る数字だ。
 
2016年、台湾で卵子提供を受けて人工授精を行った延べ2,146人のうち、半数近くに上る延べ1,060人が外国人だった。これは、2014年の延べ208人と比べると、3年間で約5倍に増えていることになる。内訳を見ると、中国大陸、香港、日本からが最も多い。
 
中国大陸から台湾へやって来て卵子提供を受ける女性が増えている背景には、中国当局が近年、「一人っ子政策」を撤廃したことがある。これを受けて、自然妊娠が難しい、あるいは自身の卵子を採取するのが困難な45~55歳の女性、それに何度も妊娠を経験しているが胎児の染色体異常によって出産を諦めざるを得なかった女性などが、台湾で卵子提供を受けているという。
 
台湾では一般的に、卵子提供を受けるまでに必要な時間は3か月から半年ほど。受診し、卵子提供を受けるための登録を行い、レシピエントと卵子ドナーとの間に四親等以内の血縁関係がないことが衛生福利部国民健康署によって確認されれば、卵子提供を受けて人工授精を行うことができる。費用は中国大陸とほぼ同じで10数万人民元。しかし、中国では登録から卵子提供を受けるまでに3~5年待つ必要があるため、台湾で卵子提供を受ける人が増えている。
 
海外からの患者が増えることで、不妊治療を受ける台湾の女性が卵子提供を受けられる機会が減るのではないかと懸念する声もある。これに対してある産婦人科医は、台湾社会はこれまで比較的保守的で、卵子提供は年間約1,000人程度だったが、近年はその数が2~3倍に増えていると指摘。一方で不妊治療を受ける台湾の女性は、他人からの卵子提供ではなく、自分の卵子での妊娠を望むケースが多く、卵子提供に対するニーズはそれほど高くない。このため、台湾で卵子提供を受ける海外の患者が増えても、それが台湾の女性が卵子提供を受ける機会を妨げるまでには至っておらず、むしろ台湾の生殖医療の知名度を高めることになっていると指摘している。
 

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