2024/05/07

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布袋戯の陳錫煌さん撮った映画『紅盒子』、10/19公開へ

2018/09/18
新北市は16日、台湾の伝統人形劇「布袋戯(ポテヒ)」の国宝級人形遣いである陳錫煌さん(前列右)を追ったドキュメンタリー映画『紅盒子』の特別上映会を開催した。同映画は10月19日に一般公開される。前列右から2人目は新北市の朱立倫市長、右から3人目は楊力州監督。(新北市サイトより)
楊力州監督が10年の歳月を費やし、台湾の伝統人形劇「布袋戯(ポテヒ)」の国宝級人形遣い陳錫煌さん(87歳)を追ったドキュメンタリー映画『紅盒子』が10月19日に一般公開される。人間国宝と呼ばれた偉大な父親、李天禄さん(故人)を持ちながらも、努力して自分だけの人生の物語を編み出していった陳錫煌さんの姿を描いている。新北市文化局(台湾北部)は16日、一般公開に先立ち、新北市板橋区の映画館「板橋秀泰影城(ShowTimes)」で特別上映会を開催した。「布袋戯」の劇団関係者や小学校の「布袋戯」劇団に参加する児童などを招いた。さまざまな年代の人々が一緒に映画を鑑賞することで、伝統芸能の継承につなげるのが狙い。
 
楊力州監督は、この映画を撮影するのに10年の歳月を費やしたとした上で、「布袋戯」は台湾にとって重要な文化財でありながら、消滅の危機に瀕していると指摘。「このような素晴らしい伝統芸能を、ぜひしっかりと見て欲しい。なぜならそれが最後になるかもしれないからだ」と観衆に訴えた。
 
陳錫煌さんは、「亦宛然掌中劇団」を創設した国宝級人形遣い、李天禄さんの長男として生まれた。しかし、李天禄さんは陳家に婿入りした身であったことから、長男の陳錫煌さんは母親の姓である「陳」を名乗った。「亦宛然掌中劇団」も次男である李傳燦さんが引き継いだ。しかし、李傳燦さんが2009年に死去。李天禄さんの伝統芸能は、陳錫煌さんが継承することになった。
 
陳錫煌さんはかつて楊力州監督に対して、こう話したという。「ドキュメンタリー映画を撮影しているのでしょう?ならば早く撮ったほうがいい。そうでなければ伝統が失われてしまう」、「北管、歌仔戯(台湾オペラ)などはいずれも学校で正式に教えられているが、布袋戯にはそのようなものがない」と。このため陳錫煌さんは79歳のときに「陳錫煌伝統掌中戯団」を創設。現在も「布袋戯」の伝統芸能を教えている。
 
この特別上映会には、かつて「国家文化芸術奨」表演芸術部門を受賞し、「戯状元」と呼ばれる人形遣いの許王さん、現在82歳となる台湾初の女性人形遣いで「戯海女神龍」の異名を持つ江賜美さん、新北市新荘区の有名な人形遣いである許正宗さん、黄武山さん、黄僑偉さんなどが招かれて参加した。
 
三峡国小(=小学校、台湾北部・新北市)で布袋戯の劇団を指導する教員の陳祈中さんは、劇団を結成して14年になる。「現在の小学生は、屋外の舞台で布袋戯を見たことがなくても、劇団への参加を希望してくる。参加している児童たちは皆、布袋戯が大好きだ」と語った。また、技術指導を行う陳崑泳さんは、「児童たちは人形を操る人、セリフを言う人、楽器を演奏する人と、自分の担当をしっかりと行っている。新しいストーリーや地元に密着した物語などで、より多くの児童たちが布袋戯に興味を持ってもらえるようにしている」と述べた。
 

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