蔡英文総統は11日、台湾北部・台北市内で開催された国際フォーラム「玉山論壇（＝玉山フォーラム）」に出席した。「玉山論壇」は昨年初めて開催されたもので、2回目となる今年は世界18カ国から講師、アジアの若手リーダーなど合計48名が招かれた。インド、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール、カンボジア、ミャンマー、オーストラリア、ニュージーランドなど新南向政策の対象国11カ国からも参加があった。新南向政策とは、ASEAN諸国、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアを含めた合計18カ国と幅広い関係強化を図るというもの。
蔡総統は開会式の挨拶で、「1回目の開催となった昨年は、台湾が地域協力のエネルギーになれることを強調した。あれから１年が経過し、新南向政策の成果も目に見えるようになってきた。今年上期、新南向政策対象国から台湾にやってきた留学生は4万1,000名を超えた。来年はこれが4万8,000名に増えるだろう。新南向政策対象国への留学を選択する台湾の若者も増えており、昨年、これらの国々に留学した台湾の学生は20％増加した」と説明した。
また観光方面では、過去2年間で延べ400万人の新南向政策対象国の観光客が台湾へやってきたと説明。政府機関だけでなく、民間セクターでも新南向政策対象国との交流が進み、2017年、台湾では官民合わせると新南向政策対象国と69の備忘録（MOU）や協力意向書に調印したと述べた。さらに、台湾と新南向政策対象国との貿易額も増えており、年間成長率は15％に達していること、新南向政策対象国に対する台湾からの投資額も54％増え、これらの国々から台湾への投資も15％増えていることなどを指摘した。
蔡総統は、「台湾は新南向政策対象国で投資を行っているだけではない。この地域の発展に有利となる長期的パートナー関係を築き上げている。また、台湾はこれらの国々が農業、公衆衛生、ICT（情報通信技術）分野での能力を強化できるよう協力している」と述べた。
蔡総統はさらに、「数十年後、その時代を担う人々に、この歴史上の重要な時期に我々は何をしていたかと聞かれたとしたら、我々の今日のここでの行動がその答えになるだろう」、「玉山論壇は台湾の新南向政策に関する約束が事実であることを証明し、台湾の官民および市民社会が持続可能な未来を創る上での努力を示す場だ」と述べた。
蔡総統は最後に、フィリピンのテオフィスト・ギンコナ（Teofisto Guingona）元副大統領が昨年の「玉山論壇」で、「我々は互いに助け合うことができる。フィリピンは台湾を助け、台湾はフィリピンを助ける」と発言したことを引用し、「このような精神こそ『玉山論壇』及び新南向政策が追い求めるものだ」とし、「台湾はアジアを助けることができる。アジアもまた、台湾を助けることができる」として挨拶を締めくくった。