2024/05/03

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台湾の半導体産業先駆者、張俊彦氏が死去

2018/10/16
台湾の半導体産業発展に大きく貢献し、無数の人材を育成した国立交通大学の張俊彦元校長(写真)が12日未明に死去した。(国立交通大学フェイスブックより)
台湾の半導体産業発展に大きく貢献し、無数の人材を育成した国立交通大学(台湾北部・新竹市など)の張俊彦(Chun-Yen Chang)元校長が12日未明に死去した。享年81歳。張俊彦氏は台湾南部の台南市生まれ。国立成功大学(台南市)電気工学科を卒業し、国立交通大学の大学院で電子工学の修士と博士を取得。専門は半導体素子、半導体物理、及び超大規模集積回路(VLSI)技術。
 
国立成功大学電機工学科の学科主任、国立交通大学物理学科の学科主任、同大学研究発展処の「研発長」(処長)、工学部の学部長、コンピューターサイエンス学部の学部長、そして校長などの要職を務めた。また、中華民国(台湾)で博士課程を終えた初のエンジニアリング博士でもある。政府関連では行政院(内閣)国家科学委員会(現在の科技部)の国家ナノテクノロジー実験室主任、総統府国策顧問を務めた他、中央研究院の院士(フェロー)と全米技術アカデミーの外国人会員でもあった。
 
台湾の半導体産業が世界で重要な地位をつかむ上で、張俊彦氏は先駆者として極めて重要な役割を果たした。1964年、張俊彦氏は張瑞夫氏、郭双発氏と共に国立交通大学に初の半導体研究センターを設立。同センターは台湾における半導体関連の人材を育てる重要な施設となった他、同分野での研究でアジアをリードするものだった。1988年には国家サブミクロン技術実験室(2002年に「国家実験研究室ナノテクノロジー実験室」に改名)を開設し、半導体技術研究のための理想的な作業環境を整え、半導体に関するハイクラスの研究者の育成に努めた。1994年から1996年までは行政院国家科学委員会(当時)マイクロエレクトロニクス部門の「召集人」(代表)を務め、当時国家が科学技術の発展を目指した方向に合わせて内外の研究トレンドを分析、さらには国内の技術レベルに合わせて同部門の将来の研究重点を定めるのに協力するなど、マイクロエレクトロニクス部門関連の計画を推進した。
 
張俊彦氏はさらに、当時の台湾が製造を中心に置いていた考えを改めさせるため、「設計のイノベーションと知識経済」を主体として当時の各国のエレクトロニクス、情報通信分野の発展状況を調査し、将来は半導体チップによるシステム(=システム・オン・チップ、それ1つでシステムとして機能する集積回路)が広く実現すると大胆に予測した。そして2002年、責任者として「半導体チップシステム国家型科技プロジェクト」を推進、台湾の産業の変革を支援して国際的な競争力を生み出した。さらに2003年には「国家矽導計画(Si-Soft Program)」を執行、半導体の設計、情報テクノロジー、エレクトロニクス、電機、光エレクトロニクス、通信に関する大学の学部生募集枠拡大に力を入れた。同時に毎年85名(4年で340名)まで関連の教師採用枠も広げた。基礎的な研究環境の整備から行き届いた人材育成措置まで、張俊彦氏は台湾における過去50年の半導体産業の発展のために強固な基礎を築いたと言える。
 
科技部では蔡英文総統に「褒揚令」(国に多大な貢献をした国民を政府が称えることを示す公文書)を申請し、近代の台湾における科学技術の発展に対する張俊彦氏の功績を称えることにしている。
 
 

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