オーストラリアのシドニーにあるニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(Art Gallery of New South Wales)はこのほど、台湾の国立故宮博物院の収蔵品153点(器物80点余り、書画50点余り、文献9点)を借り受け、同美術館で展示することを明らかにした。中には有名な「肉形石」や「明孝宗坐像」なども含まれる。故宮博物院の収蔵品はこれまでフランス、米国、ドイツ、オーストリア、日本に貸し出されたことがあるが、南半球に渡るのは初めてのこと。
これまで故宮の海外展は、故宮選りすぐりの収蔵品を集める形式が採られていたが、オーストラリアでは特定のテーマによる展示が行われる。双方は貸出しリストを作成するにあたり、2年前に故宮博物院が開催した特別展「華夏美術に見られる自然観」を展示の参考にしたという。
故宮博物院の収蔵品を海外で展示するには、こうした収蔵品が中国の故宮博物院から差し押さえられないようにするため、借り受ける国が関連の法律を成立させ、収蔵品の安全を保障しなければならない。今回のオーストラリアでの展示も、オーストラリア側の法整備が整ったことを受けて実現した。
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館は2019年2月2日から5月5日まで「Heaven and Earth in Chinese Art - a rare collection of treasures」と題する特別展で、故宮博物院の収蔵品の数々を展示する。