台湾の最高学術研究機関、中央研究院は今年で創設90年。12日には中央研究院人文社会科学館で国際学術フォーラムが盛大に開かれた。各国のアカデミー(科学院)の代表が一堂に会し、「国立アカデミーの役割と課題」をテーマにそれぞれの組織と運営、任務と使命、直面する課題と未来の展望などについて経験の共有や交流を行うと共に、中央研究院の創設90周年を祝った。14カ国の学術研究機関から代表が20名出席した。
中央研究院の廖俊智院長が創設90周年記念活動での基調講演で説明したところによると、中央研究院は31の研究センターを持ち、9,000人近い職員、880人の教師、100人あまりの研究者と専門家を擁している他、これまでに1,000人を超える博士後研究員及び5,000人以上の大学院生、「助理研究員(Research Assistant)」を訓練してきた。
廖院長はまた、中央研究院が果たした大きな貢献として、ヒ素の検査法の確立で「烏脚病」(blackfoot disease:ヒ素中毒による末梢血管障害で足先が黒ずんで壊死していく病気)を撲滅したことや、政府によるB型肝炎ワクチン計画実施に協力し、ウイルスキャリア(ウイルスを体内に保有している人)の減少や肝臓がん発生率の低下につなげたこと、さらには2003年に起きた新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大抑え込みなどを例に挙げた。
廖院長は、過去数十年で学術界はそれぞれが孤立した象牙の塔から共に協力し合う団体へと変貌を遂げたと強調、各国のアカデミーも手を携えて、「科学のオーケストラ」のために美しい「楽章」を生み出そうと呼び掛けた。そして廖院長は、中央研究院が次の10年に向かう中、研究者は志と良心、知恵を持ち、社会的な責任も担いながら次世代のため役に立つ知識を残していかなければならないと訴えた。