2024/04/28

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60年前の台湾人気漫画「諸葛四郎」、アニメーションに

2018/12/05
1950年代に一世を風靡した漫画「諸葛四郎」が3D漫画として生まれ変わった。台湾だけにとどまらず、海外展開も狙う。(中央社)

台湾の漫画家、故葉宏甲氏の代表作「諸葛四郎」は、1958年から漫画雑誌「漫画大王」に連載され、多くの1950~60年代生まれの人にとって、幼い頃の共通の思い出となっている。この作品は、かつて映画化もされ、2017年には児童劇を上演する劇団「紙風車劇団」によって児童向け武侠劇(武術と任侠をテーマにした大衆劇)に改編された。

「諸葛四郎」は舞台劇のほか、近く3Dバージョンの漫画が発表され、さらにアニメーション化されることが決まっている。3D漫画版「諸葛四郎」の企画・製作を指揮したのは、台湾の動画製作スタジオ「光点吉樹」の劉育樹監督。劉監督は、台湾のテレビ番組アワード「金鐘奨(ゴールデン・ベル・アワード)に2度ノミネートされたほか、複数にわたって国立故宮博物院の国宝シリーズ動画を製作した経験を持つ。

3D漫画製作のきっかけとなったのは約1年前、劉育樹監督が葉宏甲氏の息子、葉佳龍さんに手紙を送ったことだった。手紙を受け取った葉佳龍さんは、劉育樹監督を諸葛四郎の舞台劇の観覧に誘った。舞台劇を見た劉育樹監督は、そのあまりの面白さに驚き、これはくせになるとまで語った。


諸葛四郎という作品をさらに息長く発展させるために、劉育樹監督は、紙風車劇団の舞台劇をベースにまずは32ページにわたる3D漫画「諸葛四郎」を製作することを決めた。新たな手法によって生まれ変わった作品について劉監督は、「3D漫画だが、一コマずつ2Dによる丁寧な技法で描写し、それから3D形式による演出を施した。この作業はとても時間がかかるものだが、やるだけの価値がある」と説明した。

諸葛四郎はもともと台湾全土で一世を風靡した有名な漫画。3Dという新たな技法により復刻することで、作品を生まれ変わらせたいと考えている。なお、3D漫画版「諸葛四郎」は、来年度の金漫奨(台湾最高峰の漫画賞)の「クロスメディア展開部門」に応募する予定だ。

劉育樹監督は「作品は漫画形式で保存されてきたが、時代に合わせて映像形式での保存を増やすべきだ。舞台劇の巡回公演は大成功だったが、その観客には限りがある。しかしアニメーション動画として生まれ変われば、その拡散力や影響力は舞台劇よりはるか広い範囲に及ぶことができる」と強調した。

携帯電話で動画・音声などのコンテンツやサービス(over-the-top)が展開される状況の中で、劉育樹監督も是非そのチャンスを掴みたいと語っている。劉監督は、「日本にはガッチャマン、アメリカにはスパイダーマンがいる。台湾にはずっと漫画やアニメのヒーローがいなかったが、諸葛四郎こそ台湾のヒーローだ。本当に台湾を代表するアニメを世界に紹介したい」と意気込みを語った。

また諸葛四郎の動画シリーズは、6話製作される予定だ。1話につき少なくとも10分程度の内容で、6話を通して一本の長編動画ほどの長さになる。劉監督は、作品は映画にもひけをとらない品質になるだろうと自信をみせている。2020年に完成する計画だ。

アニメーション業界で20年近い経験を培ってきた劉育樹監督は、開発済み、または開発中の各種のオリジナルIP作品を手掛けているほか、台湾オリジナルのIPを探し出し、文化の伝承と保存という概念をもってそれを広めるべきだと考えている。劉監督は、「これは自分が活躍するよりも有意義なことだ」としている。

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