2024/05/02

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GUCCIの最新アートウォール、台湾の看板絵師が描く

2018/12/13
台湾北部・台北市大安区永康街にこのほど、イタリアのファッションブランド「グッチ(GUCCI)」の巨大なアートウォールが出現した。この「GUCCIアートウォール」が設置されるのは、ニューヨーク、ミラノ、ロンドン、香港、上海に続く世界6都市目となる。台湾が誇る手描き看板絵師の顔振発さんが手掛けた。(中央社)
イタリアのファッションブランド「グッチ(GUCCI)」の巨大なアートウォールがこのほど台湾北部・台北市大安区永康街に出現した。ニューヨーク、ミラノ、ロンドン、香港、上海に続く世界6都市目となる「GUCCIアートウォール」を手掛けたのは、台湾の手描き看板絵師の顔振発さん。台南市議会(台湾南部・台南市)は12日、顔振発さんの芸術界における貢献を称え、「卓越市民」として表彰することを決めた。
 
英国の大手メディアである英国放送協会(BBC)は今年、公式サイトの特集記事で、台湾の手描き看板絵師である顔振発さんを、14枚の写真入りで紹介したばかり。今回の「GUCCIアートウォール」で、65歳の顔振発さんが再び国際メディアに注目されることになった。アートウォールの原作を手掛けた芸術家のAlex Merryさんも、顔振発さんが完成させた絵を高く評価するコメントを発表している。
 
顔振発さんは無名時代、台南市にある全美戯院(=映画館)の委託を受けて映画看板を描いていた。コンピュータによる画像処理技術が手描きの映画看板に取って代わるようになり、収入は激減した。しかし、映画看板という職人技が伝承の危機にさらされていることが話題となり、顔振発さんはかえってメディアに取り上げられ、その名を知られるようになった。
 
顔振発さんは台南市下営区に生まれた。18歳のとき親戚の友人の紹介で、映画看板絵師に弟子入りした。恩師となったのは、台湾画壇の大家である郭柏川(1901-1974年)さんの弟子、陳峰永さんだった。
 
顔振発さんは、台湾の映画看板絵師の第一人者と呼ぶにふさわしい。米AP通信社は2013年に顔振発さんを取材し、「台湾の国宝」と称えた。2016年、顔振発さんが手掛けたディズニー映画『ズートピア』(Zootopia)の手描き看板が米国のオンライン掲示板レディット(Reddit)で大きな話題となった。
 
顔振発さんは現在、全美戯院と協力して手描き映画看板に関するワークショップを開催し、後継者の育成に努めている。4年間の受講者は延べ約400人に上る。中には日本、シンガポール、香港からの参加者もいる。
 
台南市は、顔振発さんの文化・芸術分野における長年の取り組みを称え、また映画看板の職人技を惜しみなく伝承し、広げようとしていることを評価。近日中に「卓越市民」の扁額(へんがく)を贈呈し、表彰することを決めた。
 

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