2024/05/04

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政治

台湾のゴミ回収の成果、米の科学総合誌が紹介

2019/01/07
米の科学総合誌『Smithsonian(スミソニアン)』の公式サイトはこのほど、ミネソタ大学環境研究所の機関誌 『Ensia』が掲載した台湾のゴミ回収に関する特集記事を転載した。写真は回収した資源ごみをゴミ処理場に持ち帰る清掃員。(外交部国際伝播司)
米の科学総合誌『Smithsonian(スミソニアン)』の公式サイトはこのほど、ミネソタ大学環境研究所の機関誌 『Ensia』が掲載した台湾のゴミ回収に関する特集記事「How Taiwan Has Achieved One of the Highest Recycling Rates in the World(=台湾はいかにして世界トップクラスのゴミ回収率を達成したか)」を転載した。雑誌『Smithsonian』は米最大の博物館であるスミソニアン博物館が発行している。以下は記事の概要。
 
★★★
 
台湾のゴミ回収率は世界でも最も高いレベルにある。家庭及びオフィスのゴミ回収率は約55%に、産業廃棄物の回収率は77%に達する。台湾の資源ごみ回収業者は1600社を超え、その営業額は20億米ドルを超えている。
 
台湾では25年前、生活水準と消費能力の向上に伴い、大量のゴミが生じるようになった。その結果、台湾には「ゴミの島」という不名誉なあだ名が付けられた。
 
1993年、台湾のゴミ回収率はわずか70%だった。しかも、資源ごみのリサイクルは全く行われておらず、台湾にあるごみ埋め立て地の3分の2がすでに飽和状態となっていた。こうした問題を解決するため、政府は廃棄物管理の枠組みを設置。国民や企業に対し、ゴミの減量を呼び掛けた。企業は自らゴミを処理するか、または有料で廃棄物処理を外部の業者に委託するようになった。国民は、ゴミの分別と専用の有料ごみ袋の使用を通して、ゴミを種類別に分け、資源ごみを回収するようになった。
 
台湾のゴミ収集車の文化は、地域社会における「儀式」である。人々はゴミを入れた袋を持ち、クラシック音楽が流れるゴミ収集車が到着するのを待つ。収集車がやって来ると、種類別にゴミを収集車に投入する。一見すると非常に複雑に見えるが、市民からは絶大な支持を受けている。最近では、人々がより便利にゴミを捨てられるよう、例えば台北市(台湾北部)では24時間対応のスマートゴミ回収ボックス「iTrash」なるものも登場しており、ペットボトルやアルミニウム缶を一定数量投入すると、交通系ICカード「悠遊カード(EasyCard)」にいくらかキャッシュバックされるようになっている。
 
台湾ではこうしたゴミ回収システムの成功により、15年前は1日1人当たり1.2㎏だった台湾人のゴミ排出量が、現在では850グラムに減っている。非公式な統計によると、リサイクル率は50%を超え、ゴミ焼却場の多くでは、実際のゴミの量が焼却能力を下回っている。
 
行政院環境保護署(日本の環境省に相当)廃棄物管理処の頼瑩瑩処長によると、台湾の政策は、各個人が自分の消費に責任を持つことに重点を置いており、廃棄物処理の概念を国民に強く意識させることで、循環型経済(サーキュラー・エコノミー)の成果を挙げようとしている。頼瑩瑩処長は、台湾の成功の経験は、深刻なゴミ問題に直面する発展途上国にとっても参考にできるだろうと述べている。
 

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