2024/05/05

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政治

台湾名産のパイナップル、生産に取り組む最年少の百大青年農家・陳永清さん

2019/01/15
台湾名産のパイナップル栽培で、23歳の陳永清さん(右)と兄の永聖さん(左)の若い兄弟が、より農家に寄り添った生産販売に取り組んでいる。永清さんはその理念が認められ、昨年の百大青農に輝いた。(農業委員会農糧署南区分署提供、中央社)
台湾名産のパイナップルは、新鮮な果実をそのまま食したり、パイナップルケーキなどさまざまに加工されたりするが、その名「鳳梨」の台湾語読みが「繁盛、繁栄する」という意味の「旺来」と同じで台湾では縁起のいい人気の果物。パイナップルの名産地のひとつ、台湾最南端の屏東では23歳の若者、陳永清さんが兄の永聖さんととともに父の畑でパイナップルの栽培に取り組む。陳永清さんはパイナップル栽培に対する独自の理念が認められて昨年、すぐれた青年農家に行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)から贈られる「百大青農」に最年少で輝いている。
 
永清さんの家は祖父の代からパイナップルを栽培。住まいは高雄市大寮区だが、隣県の屏東県枋寮郷と佳冬郷の一帯に台湾糖業の農地を借り受ける。栽培面積は当初50ヘクタールだったのが200ヘクタール余りと年々広がっている。
 
永清さんは勉強が嫌いで中学卒業後は進学せず、父についてパイナップル栽培を手がけるようになり家業を継いだ。毎日、早朝4〜5時ごろから畑に出て1日に14〜15時間も働く。同級生たちが休みには遊び、美味しいものを食べおしゃれをしているのを見て、最初は「こんな仕事誰が好んでするか」と抵抗があったという。
 
だが、年配の人から「牛のように愚直に働けば食いっぱぐれることはない」と言われて、どうにか自分を納得させながら働いているうちに、パイナップル栽培がだんだん面白くなってきたそう。
 
しかし数年後、中学の同級生がほとんど高校や大学に進んでいるのをみて、自分もと考え、昼間の農作業を終えてから夜間学校に通い、高校卒の学歴を取得。さらに農業委員会の農業改良場で栽培技術や新しい知識を学び、パイナップル栽培に新たな世界が開けた。
 
永清さんは、パイナップルは卸売業者が市場を握り、豊作になると一気に値崩れすることに気づく。そこで、農家のことは農家がいちばん分かっているとの自負から、この問題を解決しようという理念を掲げ、これが評価されて昨年の「百大青農」を最年少で受賞した。
 
「百大青農」に輝いた永清さんは生産・販売を手がける協同組合を立ち上げた。現在、社員は20人。生産したパイナップルは中国に輸出したり、国内の飲料市場に提供したりしている。
 
一方、兄の永聖さんも2年前に父が体調を崩したのをきっかけに学校を休学、永清さんとともに家業に打ち込む。兄は生産、弟は販売にそれぞれ取り組み、兄弟で成果をあげている。
 
永清さんは農家について「大金は稼げないけれど食いっぱぐれはない」と語り、なかなかの職業だと考えている。ただ作物価格の安定を保証することが必要だとの思いから、今後も必要だと思えば学校に通い知識を身に付けたいという。

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