2024/05/05

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白先勇氏による崑劇、新解釈の『白羅衫』と『潘金蓮』が2月に台湾初公演

2019/01/17
台湾の作家、白先勇さんは崑劇の製作に長年取り組んでおり、2004年の青春版『牡丹亭』、2009年の同『玉簪記』に続いて、今年は『潘金蓮』と『白羅衫』の新バージョンを発表する。写真は『潘金蓮』(左)。(台北国家戯劇院提供、中央社)
台湾の作家、白先勇さんは中華文化における重要な古典戯曲の一つである崑劇(音楽の部分は崑曲という)の製作に長年取り組んでおり、2004年の青春版『牡丹亭』、2009年の同『玉簪記』に続いて、今年は『潘金蓮』と『白羅衫』の新バージョンを台湾初公演する。公演は「台湾国際芸術節(Taiwan International Festival of Arts)」で行われる。
 
自称「崑劇のボランティア」の白先勇さんによると、崑劇は俳優の高齢化や古めかしい演出方法、さらには従来のファンも年を取ったことで、今世紀に入ると衰退の兆しを見せた。白先勇さんは、当時自分が青春版『牡丹亭』の製作に身を投じたのは、戯曲芸術が消えていくことをいたたまれなく思ったからだと話す。全く新しく、現代的な美学も加わったバージョンを製作することで、若い俳優たちを鍛え、同時に若者たちを観客として引き付けようとしたのである。
 
それから白先勇さんが演出する崑劇作品は世界中で公演を実現。最もうれしく感じているのは、もともと崑劇を知らなかった若い世代がそれに触れるようになったこと。
 
白先勇さんによれば、600年の歴史を持つ崑劇の美しさは「雅」にあり、伝統的に決められた、細やかで情緒を重んじる表現方法にある。しかし白先勇さんは、「今は21世紀で明の時代ではない」として、新たに製作する際には従来のものを基礎にしながら、あえて現代的な解釈や美学を加えようとしている。時代の変化に伴い、多くの観念や人間性への見方についても異なる表現があるはずで、改めて脚色する場合はそこに工夫をこらし、作品に新たな生命を吹き込みたいのだという。
 
『白羅衫』は崑劇の中でも屈指の大悲劇で、父と子の深い情を語る物語。運命の悪戯で、情と物事の筋、法律に向き合いながら罪と許しの間で生まれる人間性の葛藤が描かれる。オリジナル版は典型的な「事件モノ」で、善良な側が復讐に成功して大団円となる。しかし白先勇さんの新バージョンでは、登場人物の心理状態を立体的に浮き彫りにして観客により考えさせ、感情移入させるという。
 
『潘金蓮』のオリジナルは『義侠記』。オリジナル版の焦点は「潘金蓮」の夫の弟、「武松」にあるが、白先勇さんのバージョンでは観客に、夫を殺害して情夫との情事にふけることで「淫婦」と位置づけられる「潘金蓮」がどんな女性なのかを改めて考えさせる。現代人の目で「潘金蓮」の半生を見つめ、愛することにも恨むことにも勇敢ながら封建社会で抑圧されてきた、このたくましい女性について改めて知れば、「その情愛をとても不憫に感じるだろう」と白先勇さんは話している。
 
白先勇さんによる新解釈の『潘金蓮』と『白羅衫』などは台北国家戯劇院(台北ナショナルシアター)で2月22日から24日まで公演される。
 
 

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