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国家実験動物センターが入居するビル、20億台湾元投じてついに完成

2019/01/18
国家生技研究園区(台湾北部・台北市南港区)で建設が進められていた国家実験動物センター(National Laboratory Animal Center)が入居するビルG棟が17日、供用を開始した。10年の歳月と20億台湾元(約70億日本円)を投じた。実験用のネズミやウサギを飼育するケージが並ぶ。(中央社)
国家生技研究園区(The National Biotechnology Research Park、台湾北部・台北市南港区)で建設が進められていた財団法人国家実験研究院(NARLabs)傘下の「国家実験動物センター(National Laboratory Animal Center)」が入居するビルG棟が17日、供用を開始した。10年の歳月と20億台湾元(約70億日本円)を投じた。
 
供用を開始したG棟は、高級マンション並みのスマート・グリーン建築物で、実験用の動物たちに最も適切な住環境を提供する。飼育スペースには常に新鮮な空気が行きわたるようになっているほか、室内温度22~24℃、湿度60%前後に維持されている。空調は年中無休で稼働。国家実験動物センターの研究員は「ここではすべてが動物最優先だ」と話す。
 
1階はテンジクネズミ(天竺鼠)やウサギの飼育エリアとなっている。施設職員は無菌衣の着用が義務付けられる。例えば照明が切れた場合も、直接取り外すことはできない。各階の上部にはキャットウォークと呼ばれる特別な通路が設置され、職員はそこから入って照明の交換や修理を行うなどし、実験動物の飼育空間の品質を常に最高に保たなければならない。
 
国家実験研究院によると、国家実験動物センターでは主に小型の実験動物を飼育する。例えば実験用の大型ネズミ、小型ネズミ、テンジクネズミ、ウサギなど。動物の飼育と繁殖、小規模な試験、手術、医用画像処理、胚操作、動物実験などが可能な複合施設となっている。また、悪性腫瘍、免疫代謝システムの不調、神経変性疾患などを患うモデル生物の繁殖分析や薬物実験などに十分対応することができる。
 
台湾のその他の動物施設が非公開の管理モデルを採取しているのに対し、この国家実験動物センターはケージ6,500個に及ぶ実験動物とその飼育スペースを、国家生技研究園区に入居する、あるいは周辺のバイオ・テクノロジー企業が動物実験を行なえるよう提供しているのが特徴だ。台湾を支えるバイオ・テクノロジーの開発を、質の高い実験環境で行い、信頼性の高い実験データを取得できるようにするのが狙い。
 
国家実験動物センターはまた、国の実験用ネズミのジーン(遺伝子)バンクとしての役割も持ち、希少なネズミの受精卵83万個を保存する。世界に23か所あるジーンバンクの1つである。
 
ここではさらに、遺伝子組み換えによって作り出した実験用ネズミを使い、腫瘍や免疫系統疾患に対する薬効試験も行う。
 
新たな施設が供用開始したことを受け、国家実験動物センターは今年3月より、中央研究院(台北市南港区)内の動物や設備をG棟に移す作業を始める。6月までには移転が完了する見通し。

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