2024/05/06

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辜厳倬雲植物保種中心と屏東県、絶滅危惧植物の保全で協力

2019/01/19
「辜厳倬雲植物保種中心(KBCC)」の李家維執行長(左)と屏東県の呉麗雪副県長(=副知事、写真右)は18日、植物遺伝資源の保存で協力することを盛り込んだ「屏東珍稀瀕危種保種行動合作意向書」に調印した。(中央社)
辜厳倬雲植物保種中心(Dr. Cecilia Koo Botanic Conservation Center, KBCC)」は18日、屏東県(台湾最南端)と植物遺伝資源の保存で協力することを盛り込んだ「屏東珍稀瀕危種保種行動合作意向書」に調印した。同センターの李家維執行長は、「屏東を皮切りに、台湾の各県・市と協力し、絶滅危惧植物の保全に努めたい」と抱負を語った。
 
KBCCは植物遺伝資源の保存に取り組み、植物界の「ノアの方舟」を目指す団体。絶滅の危機にある熱帯及び亜熱帯植物を保存するため、国立清華大学(台湾北部・新竹市)生命科学科の李家維教授が発起し、台湾セメントグループの辜成允前董事長(会長)がこれに協力。辜一族が台湾南部・屏東県高樹郷に持つ泰和農場の土地を寄付し、資金援助を行うことを約束し、KBCCを立ち上げた。2007年1月の誕生からすでに11年の歴史を持つ。
 
KBCCと屏東県の協力は、2017年に実施したプロジェクト「保護屏東瀕滅植物-武威山烏皮茶保種行動」に続くもの。このプロジェクトは、KBCCが2008年より繁殖に努めていた「武威山烏皮茶(Pyrenaria buisanensis)」の種苗20株を屏東県に寄贈し、県庁舎の庭に植えるというものだった。
 
KBCCは現在、世界各地の様々な植物を収集している。その中には、台湾に生息する5,300種の植物があり、そのうち1,000種近くが絶滅の危機にさらされている。これらの植物は多くが、人為的な開発によって生息地を奪われ、あるいは重視されずに踏みにじられるなどして、絶滅の危機に瀕している。
 
李家維執行長は、「KBCCだけがこれらの絶滅危惧植物を保護することは、最善の方法だとは考えていない。KBCCはそのきっかけに過ぎない。絶滅危惧植物を探し出したあとは、各県・市に協力を仰ぎ、県内あるいは市内に生息する特殊な植物の保全に取り組んでもらう。これらの植物は必ずしも健康的、食用可能、あるいは観賞に適しているというわけではない。しかし、一つの地域の生態系バランスにとっては重要な資産なのだ」と説明した。
 
李家維執行長はまた、「屏東県との協力は素晴らしいスタートだ。屏東県とは、同県の固有種である『武威山烏皮茶』の保全で協力しており、次はマメヅタラン属の『屏東捲瓣蘭(Bulbophyllum pingtungense)』やリュウキュウベンケイ属の『鵝鑾鼻燈籠草(Kalanchoe garambiensis)』などの屏東県の固有種を、機関、学校、個人と協力し、共同で保存していきたい」と意気込んだ。
 
KBCCは現在、35名の専門人員を抱え、17の温室、サーモスタットを設置した2つの施設を持つ。ここでは世界各地で採取した3万3,000種余りの生きた植物が保存されている。世界で最も多く熱帯・亜熱帯の植物遺伝資源を保存する施設だ。
 
KBCCは台湾だけでなく、世界各地でも植物の保全に努めており、ソロモン諸島での植物資源調査の実施、ベトナムとの合同プロジェクトである「台越聯合植物保育研究中心」の設立、それに中国・深圳の植物園との協力など、さまざまな事業も行っている。
 

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