2024/05/03

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400年前の華人は西洋人と如何に意思疎通?清華大学が歴史資料を出版

2019/02/15
国立清華大学が14日、17世紀にスペインの神父やフィリピンで暮らしていた閩南人が協力してまとめた、スペイン語と閩南語など中国語を対照する語学書を収録した叢書を発表した。(中央社)
国立清華大学(台湾北部・新竹市)出版社が14日、台北国際ブックフェア(台北世界貿易センター展示ホール1、3で開催。2/12~2/17)において、『閩南-西班牙歴史文献叢刊一』(閩南-スペイン歴史文献叢書1、Hokkien Spanish Historical Document Series I)の出版を発表した。17世紀に手で書かれた文書が2点収録されている。「閩南」は中国大陸・福建省の南部のこと。この地方での言葉は台湾語と非常に近い。
 
これらの文書は、フィリピンの聖トマス大学文書館(AUST)の「西班牙-華語辞典」(スペイン-中国語辞典、Dictionario Hispánico Sinicum)と、スペインのバルセロナ大学図書館の「漳州話語法」(漳州語文法、Arte de la Lengua Chio Chiu)。「漳州」は中国大陸・福建省南部の都市。「漳州話語法」はスペイン語、漢字、漳州語(閩南語)の発音記号、官話(北京語)の発音記号が対照できるようになっている。これらはいずれもスペインのドミニコ会の神父とマニラで暮らしていた閩南人たちが協力して書き上げたものだという。
 
編集を担当した、国立清華大学歴史研究所の李毓中副教授によると、康熙字典(古代中国の漢字字典)が全国の文人たちの力を結集して4万から5万語を収録したのに対し、『閩南-西班牙歴史文献叢刊一』が紹介するこれらの書物では数人の神父が人々を訪ね、フィールドワークを重ねて約3万語を集めた。李副教授は、これら神父たちの努力と貢献には驚かされると話している。
 
李毓中副教授によれば、詳しく研究すると、当時華人が「スペイン語」としていた言葉の多くの単語は実はポルトガル語だったことが分かる。当時の商人はまずマカオに行くことが多く、ポルトガル人と接触していたことで特殊な言葉が生まれることになった。また、華人が当時話したスペイン語は時制がなく、まるで森林で成長したターザンが話す英語のように「通じればいい」といったものだったという。
 
スペインの台湾における代表部に相当するスペイン商務弁事処(SPANISH CHAMBER OF COMMERCE)のJOSE LUIS ECHANIZ COBAS処長は、これらの文献は400年前にスペイン人と閩南人が交流していた情景を思い起こさせるもので、二つの文化にとって初めての接触だったことを考えると大いに重視すべきものだと指摘した。JOSE LUIS ECHANIZ COBAS処長はそして、出版に関わった台湾の学者たちの努力によって、これらの文献は世界の学術界の知るところになると感謝した。
 
 

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