2024/05/07

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国立成功大学、有害・有毒藻類の測定新技術開発

2019/02/22
国立成功大学(台湾南部・台南市)の研究チームは、水中の有害・有毒藻類をよりスピーディに測定できる新技術を開発した。この技術を使えば、従来に比べて30倍のスピードでデータ分析を行うことが出来る。右から2人目は同大学環境工程学系(=環境工学科)の林財富招聘教授。(自由時報、簡惠茹撮影)
国立成功大学(台湾南部・台南市)の研究チームは、水中の有害・有毒藻類をよりスピーディに測定できる新技術を開発した。この技術を使えば、従来に比べて30倍のスピードでデータ分析を行うことが出来る。
 
科技部(日本の文部科学省に類似)は20日、科技部が実施する助成事業の成果報告会を開催した。国立成功大学環境工程学系(=環境工学科)はこの報告会で、有害・有毒藻類を迅速に測定する新技術について説明した。林財富招聘教授によると、一般にダムや湖などの静止水域では藍藻や緑藻の富栄養化現象が生じやすい。従来の顕微鏡を用いた人工的な検測では、1つのサンプルに1時間ほど費やす必要がある。しかし、今回同大学の研究チームが開発した新技術を使えば、3時間以内に96個のサンプルを分析できる。このため、大量分析が必要な場合、従来に比べて30倍程度早く行うことが出来る。
 
また、従来の方法ではこうした藻類が毒性や悪臭を生成しているかどうかまで確認することはできなかった。同大学が光学技術、分子生物学、免疫学分析技術などを駆使して開発した新技術を使えば、ダムの現場で毒性や悪臭を生成する藍藻や緑藻の定量分析を行うことができる。また、生成された毒素の潜在的リスクを推測し、どれだけ薬剤を投入すべきか判断できる。これは、市民の飲用水の安全確保にもつながる。
 
また、この技術によってリスク管理のレベルを高め、藻類による毒性・臭気の生成リスクを判断するまでの時間を短縮することができる。ダムや浄水場などでの水処理の効率をより的確に制御し、処理にかかる無駄なコストをカットすることもできる。ダムや浄水場だけでなく、地下水汚染、汚水処理場、排水回収、水産養殖場などでも活用することが出来る。
 
国立成功大学はすでに、科技部の助成を受け、フィリピン・マニラに「台湾フィリピン水質研究センター」を設置している。毒性や悪臭を生成する藻類の毒素や水質に関する研究や分析を行うフィリピン初のラボとして、30名以上の水質専門家を育てている。
 
国立成功大学はほかにも、アメリカ、オーストラリア、タイなどでも協力プロジェクトを展開する計画で、今後はその他の新南向政策対象国(東南アジア、南アジア、オーストラリア、ニュージーランドを含む18カ国)へもこの技術を輸出したいと考えている。
 

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